高尾山では新緑の若葉が芽生えていた

高尾山へ登った。とはいっても足を使ったのはそう長いルートではなく、観光リフトに搭乗しての登山であった。

リフトに乗ったのは子供のころにスキー場で搭乗した時以来だ。久しぶりの体験であった。幅1メートルあるかないかの席に乗り込んで、空中遊覧散歩が始まった。初めのうちは山肌をすぐ近くにしながらの長閑な散歩ではあった。しかしながら中腹を過ぎたところ辺りから突如として山の崖を眼下に眺めるようになり、掌には冷や汗がにじみ、体が凍り付いてしまったのだ。足はぶらぶら、とても空中散歩を長閑に楽しむ気分ではなくなってしまっていた。

それでも山上駅に到着するころには、空気も澄んでいることを実感し清々しかった。初春の季節はまだ緑が色付くものではなかったが、灰色の枝から薄緑色の若葉が芽生えていたのを目にし、春という季節の訪れを視覚的に味わうことができたのだった。