茹でる前の生若布を使って、若芽のしゃぶしゃぶ鍋をつくった。
艶やかな茶褐色の色合いをした生若布は、鍋の熱湯にくぐらせてしゃぶしゃぶとすることにより、鮮やかな緑色に変色、変身させていく。その様はまるでカメレオンが身体中の色素を取り替えるかのごとくにドラマ仕立ての装いであり、何度接しても気持ちを揺さぶられること必至也。
新鮮な若布であるので、さっと火を通して、刺身風に味わうこともできるし、野菜をたっぷり入れた鍋のスープに、しゃぶしゃぶとして味わうのは稀に見る食体験となること請け合いだ。若布等の海藻類に豊富に含まれる「クロム」という成分が、糖や脂質の代謝を活発にされることから、ダイエット効果をもたらしてくれる効能が期待できる。
そしてもう一つの特筆される要素であるが、若布には極めて強力な整腸作用がある。食べて30分と経たないうちに、お腹がごろごろ云って来るのを感じる。腸が蠕動作用を活発にしていることを実感するのである。
味付けは和風のカツオ出汁に生姜のすりおろしをたっぷり加えた。冬にさっぱりと味わえる鍋としては、この「若芽のしゃぶしゃぶ鍋」こそ特筆するに価するのだ。