松本には雪景色で迎えられたが、例年に比べて今年の降雪量は少ないという。昨晩久しぶりに降った新雪なのだと云い、バス運転手はしきりに「異常気象だ」とアピールしていた。バスに乗車して1時間半程度を過ぎたころ、岐阜県高山市内の平湯温泉にて乗り換え便を待つ。
やはり飛騨の北、日本の屋根とも称される北アルプスに抱かれる地帯だけあり、ここはもう完全な雪景色の中。バスを乗り換えてそこから約30分、奥飛騨温泉郷の最奥の「新穂高温泉」に到着したのだ。
まずは名物の露天風呂につかる。粉雪の降る景色の中での雪見風呂は格別だ。おそらく氷点下であろう外気はこれ以上ないくらいに肌寒いが、湯の中に沈めた身体はぽかぽかと内側から温かく、清涼な気が身体中を駆けていくようである。
夕食にはこの地の名物、飛騨牛肉を朴葉味噌で陶板焼きにしたものや、「熊汁」という熊の肉を煮込んだ汁物などが並べられ、久しぶりの贅沢な晩餐。寒い季節だからこその信州の旅の醍醐味なのだ。
宿泊した「深山荘」は、蒲田川にかかった吊り橋を歩いて渡ってチェックイン。背景の山々と宿とが織り成すモノトーンの光景は、古の水墨画を想起させるものであり、おいらも吊り橋を渡りながら、何度もカメラのシャッターを押していた。
とにかくここ新穂高温泉郷の湯量は豊富だ。しかも湯熱が極めて高いのである。上に掲載したのは貸切湯であるが、二つの貸切湯のほかもっと広大な共同露天風呂がいくつもある。蒲田川を渡った場所は新穂高温泉の魅力をあますことなくアピールした温泉地であった。
■深山荘
飛騨県高山市奥飛騨温泉郷神坂720-1