本日はと云えば、年末の風物詩として由緒ある酉の市の「三の酉」にあたり、帰宅途中の商店街では屋台などが出店して賑わっていた。
「たこ焼き」等の人気屋台に混じって「イカ焼き」の店が居たので覗いてみた。鉄板の上では、身を切り刻んで輪切り模様のイカたちが、身を横たえていたのであるが、鉄板から立ち上る熱によって彼らイカたちは皆、赤々と身を紅葉様とさせていて、これまた秋の風情なのかと云う誤解を招いてしまっていた様である。秋でなくともイカは熱き鉄板の上では身を赤々とさせていくものなり。秋の風情と云うよりは屋台の風情と云ったほうがよさそうだろうか。
赤くピンと張った身に対して、屋台の兄ちゃんは包丁を入れ、真っ白いお腹を引き裂かれ、そして衆目にあからさまにしていたのだった。「嗚呼、痛そう!可哀想!」という声をおいらが発する間もなく、イカのその身はピンと張っていてしかも白く、ある種のイカ的の象徴的光景とも感じ取っていたのであったのだ。
イカの丸焼きは今もなお屋台の人気メニューとして君臨している。いかさま、と、呼ぶのは容易いが、いかさまはまたいかさまなりの人生観があるのであろう。