所謂マイブームの一つで、近頃カニクリームコロッケにのめり込んでいるのだ。
とはいっても、おいらがよく通う大衆居酒屋でのメニューであり、そのほとんどに「カニ」が入っていない。カニ風味、或いはカニ蒲鉾等のなんちゃってカニ風食感、等々にも出くわさないのであり、初めて其れに気付いた頃は、詐欺ではないかと考えていたものであった。
特に「詐欺度」が高いのは形で判るが、通常の「じゃがいもコロッケ」の様な形をしている。洋食系のものはと云えば、楕円形の所謂「俵型」をしており、俵型コロッケには、カニの風味やら食感やらが含まれていたことを記憶している。だがおいらの経験値に依れば、じゃがいも型カニクリームコロッケのほとんどは、カニの風味さえ感じ取ることが出来ないものである。
なのになんでこういうメニューが幅を利かせているのか? と云うのが先ず最初の疑問であった。
コロッケの起源は仏蘭西の「クロケット」であるとされている。此れがまさに「クリームコロッケ」であり、多分は俵型をしていたのであろう。だがカニが含まれていたという歴史的記述は見当たらない。だとすればこの「カニクリームコロッケ」と云うメニューは、日本産洋風コロッケのことを指すのではないか? 恐らくはそういう結論が、導き出せよう。
「洋風コロッケ」のことを「カニクリームコロッケ」と名付ける感覚は分からないでもない。だがしかしながら「カニ」が入ってもいないのにカニの冠を冠するのはやはり詐欺的ネーミングではある。
最後のまとめになったが、何故においらがそのような「カニクリームコロッケ」を注文するのか? と問えば、熱々のクリームがじわっと口に入ったときの刺激が堪らないからだと記しておこう。熱々のクリームシチューが、とても刺激的なシチュエーションで口に入るという、この特別な嗜好性が何ともいえないと云うことなのである。