俗に「秋茄子は嫁に食わすな」という。それくらいに秋に収穫される茄子は熟して実が肥えて美味いということである。
嫁いびりも盛んだった頃の喩えとはいえ、品も無い上に味気もない一句だが、秋の茄子は夏の茄子よりも重宝がられていたということを如実に示している。
ともあれいったんの旬の時期を過ぎて、茄子が益々美味しい季節に入ってきた。夏の代表選手としての茄子だが秋に入って益々更に熟して実をもうけるというのは、一体全体茄子って云う野菜君は夏派なのか? それとも秋派だったのか? とまあ、訝しく感じることもままである。
それでも実際のところは秋の茄子のほうが断然に美味だという声を強く耳にする。希少性やマニア向けの嗜好とも関係しているに違いない。
定食屋の「茄子の味噌炒め」を口にして、その思いを強く感じていた。秋茄子は夏茄子よりもぐっと来る。それは本日のおいらの舌で実証した事実でもあった。
それにしても茄子の味噌炒めというメニューは、日本人であるおいらの味覚にとてもとても強くフィットしている。こんなにも相性の良い食材と調味料との妙と云ったら、他には数えるほどしか思いつかない。
それくらいにぐぐっと感じる逸品メニューだ。