大魚から逃れるための翼を得た「トビウオ」のタタキは美味だった

海上に羽根を広げて飛び跳ねる様がそのまま「トビウオ」の名の由来とされる。それくらいにトビウオとその滑空する姿とは一体的セットとなって、我々のイメージに刻まれている。本日はそんなトビウオのタタキにありつくことが出来たのだ。

皿に乗って出てきたのは、やはり羽根の付いたトビウオのかしらだ。やはりと思わず書いてしまったのは、以前にも何度かこの盛り付けの光景を視界に焼き付けていたからに他ならない。トビウオといえば、その羽根付きのかしらと一緒に皿に盛られて提供されてきたものである。

とは云いながらも、今回のトビウオの羽根っぷりは凄いものだったので、やはりと云うのかカメラに収めることになった。羽根っぷりもさることながら、共にそのかしらのいでたちも天晴に写っていたので、共にアップしておきます。

高度3メートルほどの高さを300メートルもの距離にて飛び続けていく。まさに翼を持った魚類と呼んでも良いほどである。

味わいもまた淡白でありながら筋肉質の繊維を強く頬張っているようでもあり、美味であると云うしかない。

そもそも羽根が生えて空を飛ぶようになったのは、マグロやカツオなどの巨大魚からの追跡を逃れるためのものなのだ。豊饒の海にはそうした数々の魚達の思いが溶け込んでいる。

詩人の谷川俊太郎さんは、「クレーの絵本」(講談社刊)の中の一節「黄金の魚」にて、哀しい魚たちの生態を一編の詩にして表現した。名詩の中の名詩である。今ここで示すのは条件が整わなくて不充分であるので、いずれ改めて取り上げていきたいと考えているところだ。