地元の中華料理店にて「ゴーヤと豚肉炒め」というメニューを発見し、早速食したのでした。
ご存知、沖縄料理の定番が「ゴーヤチャンプル」であり、ゴーヤと豚肉を炒めて調理するという手法は極めて似ているといってよい。だが食したときの味わいは、これ程の大きな差異を感じ取ることがないくらいのものであった。
中華のゴーや炒めの材料は、ゴーヤ、豚肉に加えて、玉ネギ、トマトが使われている。そして味付けの鍵ともなるのが、牡蠣油(オイスターソース)という調味料である。文字どおり牡蠣の油を原材料として調整された、中華料理になくてはならない調味料なのだ。
牡蠣油(オイスターソース)とは、牡蠣の茹で汁を濃縮加工して様々な味付けを施していて、確かにこの調味料には中華伝統の何やらかがあることは認めよう。それでもなお、素材の旨さ、持ち味を活かしきれない調味料であることを、今回の中華版「ゴーヤと豚肉炒め」で認識したのだ。とても上手い料理ではある。だが美味ではない。この差異は歴然としていたのだ。
逆に視点を当てれば、沖縄の「ゴーヤチャンプル」が如何に食材と調理法とのハーモニーが取れている料理なのか! ということに感動するのだ。沖縄料理の基本である「チャンプル」の調理法には、優れた叡智が隠されているのである。