近頃はどのマスコミを開いても「頑張ろう、ニッポン」のオンパレードが続いている。別段そのことに意義を唱えるつもりもないが、これを思考停止と呼ばずして何と呼ぼうか。自粛ムードが高じて社会全体の思考停止状態が続いていくとなれば、由々しき状況であると云わねばならない。
そんな状況の中で、斉藤和義の「ずっとウソだった」ソングの発表はユニークであり、なおかつ極めて創造的な行為であった。ご存知のヒット曲「ずっと好きだった」の替え歌として歌われ、YouTubeにアップロードされた。その直後からネット上ではこの歌の話題が沸騰していたという。斉藤和義を語る偽者ではないか? いや本人だ! 等々の喧しいやり取りが行われてきた。
そんなこんなの末梢的なやり取りに対しては、斉藤和義本人がUSTREAMの生歌披露で吹っ飛ばした。番組で自らが替え歌を披露したのだから天晴の一言である。オリジナル曲を遥かに上回るインパクトとメッセージ性を有した名曲である。
図らずとも騒動となった状況下にて、可笑しなやり取りがまだあった。ビデオ画像が投稿されたYouTube上にて、その投稿を削除しようとして奔走した人間どもがいた。投稿しては消え、また一般投稿者がアップした投稿ビデオを、さらにまた何者かが削除していた。いわばいたちごっこ状態を生じていたのだ。
その投稿ビデオの削除に関与していたのが誰か? という命題に移るのだが、そんなに難しい問題ではない。斉藤和義が所属するレコード会社、ビクター音楽産業の関係者であろうことは、推察容易なのである。これほどまでに堕落したレコード会社とアーティストたちの関係性については、稿を改めて論じていきたいものだ。