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「モバゲー」「グリー」「セカンドライフ」「バクロス」等々、ネットゲーム、パソコンゲーム、携帯ゲームのサイトが人気だという。否、人気だとかブームだとかという範疇を越えて、社会現象とも云って良いくらいだ。最初は無料で始められるというのがミソであり、巨大な会員制のネットコミュニティーを形づくっている。その後、様々な有料のアイテムが欲しくなり、ユーザーからの膨大な収益が見込まれるというのだから、ネトゲの関係業界は笑いが止まらない。そんなネットゲームのTVCM市場もひきもきらずに拡大の一途を辿っている。
今回偶々手にして読んだ「ネトゲ廃人(芦崎治著)」には、そんなネトゲにはまってしまった「廃人」たちの生態がレポートされている。リアル世界以上にリアルなネトゲの世界に足を引き込まれて次第にリアルとバーチャルとの境界を逆転させてしまう「廃人」たち。彼らはおそらく、ネトゲ業界に踊らされていることも意識すること無しに没頭しているに違いない。
ネット界全般について云えることだが、ユーザーの多くはコミュニケーションを求めて集って来る。それがリアル社会ではなくバーチャル世界のものであったとしても、意に介することも無い。それどころかリアル社会を差し置いて、バーチャル世界に没頭しつつ、廃人の道を辿ることになる。
同書に登場する「ネトゲ廃人」モデルの多くが、今ではネトゲ廃人を卒業してリアル社会に立ち戻っているという。だが彼らの失ったものは大きい。それは時間という金では買えないものであったり、リアル社会における絆であったり、リアル社会に対するリアルな欲望であったり…。それら若い時間に失ったものを取り戻すことなどもはや不可能だと云えるくらいに奪われてしまうのだ。
かつて「人を食って生きている」と公言した政治家が居たが、ネトゲ業界はまさしく人を食ってその地位を磐石なものにしつつある。