帆立、松前漬、蓮根、ひじきでつくる、冬の土鍋炊込み御飯なのだ

食欲の秋は過ぎたが、冬には冬でまた、季節の旬食材が豊富なり。そんな冬の旬食材を用いて土鍋炊込み御飯をつくったのです。

食材に選んだのは、帆立貝、自家製の松前漬、蓮根、そしてひじき。どれも今からがまさに旬のものばかり。旬のものを旬に味わうのが料理の基本、食文化の基本なのだから、この季節につくらない手は無いのだ。旬の食材の持ち味が渾然一体となって土鍋に広がり、土鍋炊込み御飯ならではの味わい尽くしなのでありました。

帆立貝
冬の海で育った帆立貝は肉厚で、特に火を通して調理すればグリシンなどの成分が天然の調味料になり、貝の旨みを満喫できる。鍋の主役にもなるが、御飯と一緒に炊込めば淡白だが味わい深い出汁が土鍋一杯に広がるのだ。

松前漬
松前漬とは北海道松前が発祥とされる漬物のこと。昆布とスルメを細長く刻んで醤油ベースの汁で着ける。今では冬の季節には欠かせない酒の友でもあり、自家製の松前漬けはこの時期欠かせない。数の子、人参等を入れた豪華なものが出回っているが、昆布とスルメでシンプルに漬け込むものが松前漬けらしくて好みなり。冷処で長時間漬け込まれた松前漬けには昆布、スルメのエキスが豊富に詰まっているのであり、それだけでも充分な味付けになる。

蓮根
蓮の下に伸びる地下茎であり、泥の中で逞しく育っている。この季節になるといろいろな料理で用いられる食材。これもまた火を加えることによりもちもちっとした食感が生まれ、食欲を刺激するのだ。帆立や昆布、スルメの豊富な出汁を吸って、食べ応えも充分なのだ。

ひじき
個性が強い他の食材をまろやかに中和する。カルシウム、鉄分、食物繊維など栄養素も豊富だ。ひじきが主役の料理も多いが、ここでは切れ味鋭い脇役として良い味を出している。