夏も過ぎ、いよいよ牡蠣も解禁なり

暑苦しい夏も過ぎ去ったようだが、居酒屋メニューもここへ来て様変わりの様子だ。近頃目に付くのが「生牡蠣」「酢牡蠣」といったもの。メニューを眺めているうちについつい注文してしまう。

おいらは以前、この「生牡蠣」に苦しめられたことがある。食べた場所は赤坂の居酒屋チェーン店であった。友人との酒が進み、酒のみならず牡蠣のほうも、何杯も何杯も注文した覚えがある。小沢一郎派の拠点として最近のニュース映像に出てくる「庄や赤坂店」ではなかったかという記憶もある。ニュース映像で店舗を目にするたびに、牡蠣にあたった時の苦い想いがフラッシュバック的に襲い掛かるのだ。

その後数ヶ月間は生の牡蠣を控えていたが、いつの間にか食べていた。やはりこの生牡蠣の独特な味わいは何にも換え難きものなり。するするっと口に入れたときの喉越しは他に無く、そのときのほのかな香りも尋常ならざるものかある。香りに吸いよされるようにして食らうこともしばしばなのである。

「海のミルク」という評価が定着しているが、おいらはちと疑問を持つ。豊富なタンパク質には独特のアミノ酸を有しており、亜鉛等のミネラル分もミルク以上に豊富に含まれる。しかも見た目からして「ミルク」との類似性は認めがたいものがある。

近頃ではメニューも変化して、「牡蠣のグラタン」なるものまで出現した。フランス料理かと思えば必ずしもそのようではないらしい。和製フレンチの極みなのだという説もある。

ところで牡蠣を生食することはフランスから移入されたものだという。生食のメッカとしての我が国を差し置いて、フランスが逸早く牡蠣の生食を取り入れていたというのだ。この説についてはフランスに分が有りそうなのである。