珠玉の念仏がきらきら輝く「瀬戸内寂聴×AKB48」の授業

雑誌「the 寂聴」の最新号では、寂聴さんとAKB48とのコラボレーション的な「授業」が特集されていて興味深く読んだ。辻説法を得意とする寂聴さんが若いアイドルグループたちに向けて「授業」を行なうという設定だが、思春期の悩み相談から、「恋のコツ、愛のヒミツ。」等々に至る様々なテーマについて対談したのを纏めた特集である。

人生経験が豊富な寂聴さんは、年の差70歳といった若い女の子相手に人生、恋、愛、男、女、結婚、仕事、成功、…等々について、軽妙な遣り取りで答えを導き出していく。人生経験が未熟な若い教師では中々こういう答えは導き難い。だが人生経験ばかりが突出している授業ではない。寂聴さんが若い女の子に対してこうしろああしろといったものが更々ないのが、この「授業」の最大の見せ場であるかのようにも映っている。

かつて、TBSのニュースキャスターだった筑紫哲也氏に対して「自分の位置を確認するための指標」等と過大に評価されることがあったのだが、その実はあまり説得力のない念仏を何度と無く唱えていたに等しいものであったといってよい。筑紫がマスコミ媒体を通じて放っていた喋りというものは、ある種の「念仏」のようにしか響かなかった。相当な筑紫信者でもなければそれ以上の積極的な評価は困難である。何度も何度も同じ事柄を素材を変えて繰り返していたことが、如何にもぶれないキャスターの如く評価されていたのは滑稽でもあった。

瀬戸内寂聴さんの放出している言葉、喋りは全く異なるメッセージを示している。一面においてそれは「念仏」の様でもあり、それ以上なのである。彼女においては、彼女の独特の若さ、熱情、大いなる好奇心等々で、そうした評価を凌駕している。

寂聴さんには今後ともお元気に活躍していただき、百歳を過ぎて旺盛な姿をみせていただきたいと切に願うのである。