5月に発売された雑誌「寂聴」にて、瀬戸内寂聴さんは憧れの金原ひとみさんとの対談を実現している。以前の当ブログの日記にも記したが、寂聴さんはかねてよりの金原ひとみのファンであり良き理解者でもあり、「ハイドラ」という近作のあとがきに熱狂的な賛辞を贈っているのだ。
http://www.midori-kikaku.com/blog/?p=1048
記事を読めば、やはりこの二人は初めての顔合わせのようである。お互いに惹かれ合い刺激され合い実現した対談であるだけに、両者とも力の篭った言葉のぶつけ合いである。金原嬢のほうがとても緊張した面持ちを、スナップショットで披露しているのが微笑ましい。やはり米寿の底力と云って良い。
寂聴さんの米寿を記念して、代表作品「美は乱調にあり」が復刊されている。装丁と題字を手掛けたのが、藤原新也さんである。一見して目を瞠った。「凄い!」の言葉を胸中に発してしまった。江戸の浮世絵が現代にワープして甦ったような、熟乱を極める世界が提示されていた。そして新也さんが自ら書したという題字もまた素晴らしい。新也さんの書にはこのとき初めて接したが、美の乱舞を形にしたような趣きなり。
雑誌「寂聴」の最新号では新也さんの「書」にスポットを当てているので、その衝撃的な体験はいや増していたのである。現在この「美は乱調にあり」を読み進めているところなり。