吉兆ならぬ喫驚のメニュー。「天然山うどの天ぷら」と「もみじ笠のおろし」

毎度流浪の食卓として赴く地元の居酒屋店にて、吉兆ならぬ喫驚のメニューを口にしたので報告します。

そのひとつが上の写真に収めた「天然山うどの天ぷら」である。よくスーパーに出回っているうどとは違っていて、味わいがある。そもそもうどという食物は、味わいが無いのが取り柄とばかりにずっと刷り込まれていたのだが、本日のうど体験にて、そんな思い込みも吹っ飛んでしまったのである。大味のうどを想定して口に運ぶが、噛み締めた途端にうどの旬の味意がぐぐっと迫るのである。聴けばマスターがとって来た野生のうどを材料にしているのだという。山梨の清流を登って行った何処かは知らぬ場所である。そこの清流にて山女を釣っていたときに取れたうどだということなり。全然大味ではない。野性味溢れるうどの味わいが、おいらの味覚を魅了したのである。

ところでそれよりもっと喫驚したメニューが、「もみじ笠のおろし」である。「もみじ笠」とは、前記と同じく山女の成育する人間が出入りしない環境にて生育している山菜である。もみじ笠という食物自体、おいらはこれまで知らなかった。もともと二人前だったところをおいらが注文したために、三人前にして出してもらったという曰く付きのメニューだったのである。こちらの食感はおいらが体験した数ある山菜の中でも最も香り初々しくて、フレッシュであった。何よりもビビットな味覚を主張している。まさにベスト1を贈呈したいくらいにブラボーな味わいであったのである。