「週刊新潮」最新版のコラム「あとの祭り」にて、作家の渡辺淳一さんが眠りの障害について書いている。作家に加えて医師という肩書きも持つ彼には、不眠症を訴える人が増えているという。そんな相談には「眠れないのなら、眠らなくてもいいんだよ」とアドバイスし、それが効いたと述べているのだが、あやしい限りである。
対して川上未映子さんもまた同週刊誌の連載コラム「オモロマンティック☆ボム!」にて、自身の「睡眠発作」について記していた。読めば、「鈍器で殴られたような眠気」に襲われるのだというのだ。「ナルコレプシー(睡眠発作)」という病名まで記してその深刻さを訴えているのだ。
前々から感じていたことなのだが、未映子さんの美貌の側面には、眠気を誘うような独特の気だるさ、アンニュイ感があって、そんな彼女の眠りの世界にご一緒したいという無意識裡の願望が、彼女の表情に特別な気品の憂いを添えているのだろうと感じるのである。しかしながら当のご本人は、彼女の眠りの中の世界では、怖さや悪夢ばかりに悩まされているというのだから尋常ではなく甘くもないのである。結局のところ未映子さんは、飲めないコーヒーを飲んでみるしかないのかと〆ているのが妙に痛々しい。
かつておいらが某出版社に籍を置き、一般書籍の企画編集を手掛けていた時分には、「睡眠障害」をテーマにする書籍の企画の出版実現に動いていたことを想い出した。自らを顧みつつ、そんなテーマの出版物の必要性を感じ取っていたのだったが、残念ながらその企画は実現しないままぽしゃってしまった。機会があればまたその実現を企図していきたいなどと想っている今宵なり。
本日もまた寒波が吹き荒れていて、春日まだ遠しなのであり、睡眠薬代わりのアルコールが必要となってくるであろうなどと、いささか構えつつ、人生の三分の一の時間を費やす睡眠との良い関係を持ちたいと切に希うのでありました。