川上未映子さんの言葉に太宰治の天才性を解く鍵があるのです。

[エラー: isbn:4434086367 というアイテムは見つかりませんでした]

公開中の凡作映画「人間失格」は何故駄目か、ということをしきりに考えている。太宰治さんの原作は天才的に凄いのになんだこの凡作は! しっかりせいっ! ていう意味である。ギャップが大きいほどに叱咤激励したくなるのは世のならい也。

だがなかなかしっくりした言葉が見つからないのだ。足りないものは、センス? 情熱? 思想性? はたまた貴族性? 天才性? 選ばれたることの恍惚と不安の凄さか? う~ん、そんなんじゃないじゃない、駄目だだめじゃ! そんなこんなの今宵、かの美人芥川賞作家こと川上未映子先生の処女作「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」に、大変ヒントとなる言葉が見つかったので紹介しておきます。

「ってまあ、最後は僕すごく幸せ、幸せですっていうことで、思わずこっちが照れますよ。物を作る人間に限らず、力を形にし切ったあと、恋愛でもなんでも、そう思える束の間の幸福、これのみを体験するために生まれたんだよ俺は私は僕は、つって叫び出したい、意味はないがもうとにかく叫び出したい境地が確かに、あるのですよね完成は。」

川上さんが太宰さんについて記した文章の抜粋である。芸術家だろうがなかろうが、物を作る人間っていうのは豪いんですよ、えらいんだっ! その喜びを感じ取ることさえ曖昧な、風俗的世間の姿かたちばかりを描写して、何ぼのもんじゃねん! 監督の荒戸源次郎よ、顔を洗って頭冷やしてやり直しじゃねん! 次第に興奮してきたのではありますが、まことにかの映画には、頭にくること多かりしなのでありました。