京都のおかき屋がオープンしたカフェ、その名も「フリーカフェ」が、新たな銀座の名所になりつつある。
先日、普段は滅多に私的話題をしゃべることのない某男性スタッフが、興奮した面持ちで、おいらに声をかけてきたのである。
「小林さん、これ凄いですよ。ただ、只ですよ!」
あれれと、彼がそのとき手にしていたチラシに目をやれば、そこには「Free Cafe」の、ニューオープンの店のコピーがあれこれ並んでいた。
「これまで試食を提供する店はいろいろありましたけど、完全な只は、なかったでしょう! 宗教がかった感じですけど、これからマスコミに取り上げられる前に、今のうちに行っておいたほうがいいですよ。」
彼のアドバイスに従ったわけではないが、とりあえずその店舗に足を運んでみた。入り口のドアを開けると、同店舗の本業であるおかきを販売するスペースが陣取っていた。「Free Cafeへご来店の方はこの奥です…」なるアナウンスが響く。ざわざわと騒々しい店舗の奥まったところへと足を運ぶが、席に着く前にもう落ち着かないのだ。ざわざわした店舗のどこやらで、しきりにマイクで注意喚起する店員が居る。
「おかきのお代わりはご遠慮ください。常識の範囲でお楽しみください。非常識なお客様が居ましたら、ポンと笑顔で肩をたたいて注意してあげてください…」
こりゃ参った。まるで正義の押し売りである。フリードリンクのコーヒーの味は薄くて久しぶりに不味いコーヒーに遭遇した気分である。今度行く機会があれば、ちゃんと店内の撮影をしてくる予定なので、それはそれでまた期待しておいてください。