薬効豊かな冬の百合根の「百合根丼」なのだ

寒くなるこの時期には「百合根」が八百屋やスーパーの食材コーナーに並ぶ。昔は関東人には縁の無かったものだが、北海道、東北などの北国では古くから食材として用いられている。また関西でも吸い物や茶碗蒸しの具として食されてきた。それ以前から、寒い季節の体調管理に利く薬効豊かな食材として用いられてきたという歴史もある。

名前のとおり「百合」の根の部分。特に「コオニユリ」という品種が食用に適するとされている。花が散って根が膨らみ秋になると収穫される。収穫までには3年程度の時間がかかることから高価であったが、最近は値段も下がり身近な食材となってきた。

花弁にも似た百合根の鱗茎を一つずつ丁寧に剥がし、茹でたり蒸したりして使用する。熱を通すことによりもちもちした独特の食感が生まれるのだ。乾燥させたものや粉末にしたものも出ているが、やはりこの時期のものは生ものが望ましい。

この日は葱、牛蒡とともに卵とじにして調理した。じっくり出し汁で5分程度火を通すと白い百合根が透明色に変わっていく。卵をさっとかけてどんぶり御飯の上に乗せれば、「百合根丼」の出来上がり。品のある百合根の独特の甘味が舌に残る。身体に程よい刺激感を与えられた気分なり。時々食したい素材なのだ。

秋田産「山の芋」で、大地の恵みの「山の芋鍋」をつくったのです

ある商店街にて秋田県の鷹巣町産「山の芋」を見つけ、早速買い込んできた。山芋ではなくて「山の芋」だ。ピカピカとして濃褐色に黒光りしているようにも見える。秋田に旅行するとよく土産に買ってきた、とても貴重な逸品である。秋田の「鷹巣町」とは県北に位置した町で、今では近くの町村合併で「北秋田市」とされている。大館と能代に挟まれた小都市であり、近くには森吉山があり、山麓周辺にはブナの原生林や多数の瀑布が散在している。

豊かな自然の中で栽培された山の芋はゴツゴツといかめしく、中身がぎゅうぎゅうと詰まっている。注目すべきは外見ばかりではない。関東のスーパーに並んでいる長芋などと比べてみれば、摩り下ろしたときの粘り気が全然違うのだ。この山の芋を摩り下ろして丸くして鍋に加えれば、絶品の山の芋鍋になる。他には何も加える必要が無い。とてもシンプルで野性の滋味あふれる田舎鍋の出来上がりである。

初めて山の芋鍋を食したのは、秋田の乳頭温泉郷内「鶴の湯温泉」の温泉宿の夕食だった。秘湯として名高く全国から温泉マニアが集まる鶴の湯旅館の、有名な名物鍋にこの山の芋が使われている。

http://www.tsurunoyu.com/FONDMENT/t-shoku.html

秋田の山の芋あってこその名物鍋なのだ。囲炉裏に大きな鍋が吊るされていて、茸や季節の野菜が煮込まれたスープの中には、この山の芋を団子状に丸くしたものが入っている。それを一人一人のお椀に分けて味わうのだ。何杯もお替りがしたくなったが、なかなか他の宿泊客を掻き分けて独り占めできるものではない。土産に買い求めた山の芋を材料に、家でもこれまで何度かこの山の芋鍋をつくって味わってきた。

秋田風に鶏の出汁に味噌味のスープが、山の芋鍋を引き立てる。ほっかほっかのスープに煮込まれた山の芋を掬って口に含めば、自然と身体の中からほかほかしてくる。冬の鍋料理に欠かせない逸品となっている。

帆立、松前漬、蓮根、ひじきでつくる、冬の土鍋炊込み御飯なのだ

食欲の秋は過ぎたが、冬には冬でまた、季節の旬食材が豊富なり。そんな冬の旬食材を用いて土鍋炊込み御飯をつくったのです。

食材に選んだのは、帆立貝、自家製の松前漬、蓮根、そしてひじき。どれも今からがまさに旬のものばかり。旬のものを旬に味わうのが料理の基本、食文化の基本なのだから、この季節につくらない手は無いのだ。旬の食材の持ち味が渾然一体となって土鍋に広がり、土鍋炊込み御飯ならではの味わい尽くしなのでありました。

帆立貝
冬の海で育った帆立貝は肉厚で、特に火を通して調理すればグリシンなどの成分が天然の調味料になり、貝の旨みを満喫できる。鍋の主役にもなるが、御飯と一緒に炊込めば淡白だが味わい深い出汁が土鍋一杯に広がるのだ。

松前漬
松前漬とは北海道松前が発祥とされる漬物のこと。昆布とスルメを細長く刻んで醤油ベースの汁で着ける。今では冬の季節には欠かせない酒の友でもあり、自家製の松前漬けはこの時期欠かせない。数の子、人参等を入れた豪華なものが出回っているが、昆布とスルメでシンプルに漬け込むものが松前漬けらしくて好みなり。冷処で長時間漬け込まれた松前漬けには昆布、スルメのエキスが豊富に詰まっているのであり、それだけでも充分な味付けになる。

蓮根
蓮の下に伸びる地下茎であり、泥の中で逞しく育っている。この季節になるといろいろな料理で用いられる食材。これもまた火を加えることによりもちもちっとした食感が生まれ、食欲を刺激するのだ。帆立や昆布、スルメの豊富な出汁を吸って、食べ応えも充分なのだ。

ひじき
個性が強い他の食材をまろやかに中和する。カルシウム、鉄分、食物繊維など栄養素も豊富だ。ひじきが主役の料理も多いが、ここでは切れ味鋭い脇役として良い味を出している。

冬のほっこり「餃子鍋」は生姜と薬膳素材がポイント

今年の冬は「餃子鍋」が流行なのだという。以前からメニューとしては存在してはいたのだが、この不況下、低価格でしかも腹持ちが良いということで、近頃では各界からの支持を集めているのだ。

今年はおいらもこれまでに何回かの「餃子鍋」を食してきた。その実態は、安価で作れるというだけのいい加減なものから、グッと来るものまで様々なのだが、それにしても押さえておくべきポイントは存在するのだ。その基本のポイントというのは以下の3点。

①中華味のスープ

②もちもちした食感の餃子の具材(つまり焼餃子のものではなくて水餃子用に用意された餃子のたねが必須である)

③身体の芯から温め得る薬膳の使い方

等々である。特に「薬膳」の効果を最大限に活かすメニューであればこそ、流行の鍋の名に値するものだということなのだということを基本にそなえるべきである。

薬膳の素材としては、キクラゲ、クコの実、松の実、そして忘れてならないのが「生姜」なのだ。生姜のすり身をたっぷりとスープに加えること。これが欠かさざるべきなのである。しつこく強調すれば、生姜のすり身の無い餃子鍋などは、真の餃子鍋にも値しないということ。これは恐らく食べてみなくては判らない真実であろう。

おいらもそんな基本に則りつつ、「餃子鍋」を調理したのです。これまであまり使わなかったキクラゲ、クコの実、松の実、等々の食材を活かして作る冬の鍋は、心も身体も暖かくさせるに充分でありました。

「山芋+蓮根ハンバーグ」はマクロビ的なお勧めメニュー

昨日の北朝鮮による韓国砲撃で、朝鮮半島情勢は緊迫が続いている。軍事の専門家でもないので徒な評論は控えるが、これだけ用意周到に準備されて仕掛けられた攻撃であることからも、次なる攻撃が準備されていることは明らかだ。菅首相、防衛相始め関連大臣、政治家たちの気の緩みの無いことを求めたい。

ところで先日は、蓮根がよく取れているとニュースで報道されていた。この蓮根と山芋をすりおろし、練り固めたものを焼いてハンバーグを作った。我が家では時々やるメニューである。

肉類を一切使わずに、ほくほくとして味わい深い一品が誕生する。実はこれこそ、マクロビオティックの思想に適っているのだ。

普通にソースをかけてもよし。餡かけにしてもよし。大地の恵みをほくほくとして味わえる。

マクロビオティック料理の基本【2】切干大根の煮物と酢の物

日本が世界に誇るマクロビオティックの料理には、切干大根メニューもよく使われる。切干大根はこの時期に収穫された旬の大根を細切りにして、通常は、天日干してつくられる。中には工場で機械的乾燥をさせたものもあるが、やはり切干大根の基本は、天日干しにより太陽の恵みをしっかり吸収させたものでなくてはならない。秋の季節の乾物の代表であり、寒くなるこれからの季節には欠かせない。

生の大根料理はそれ自体が味わい深いが、天日干しして乾燥させた切干大根は、日光を浴びることによりさらに、カルシウム、食物繊維等の栄養素を増していく。そうした貴重な食材を水で戻して調理する。これぞ、日本が世界に誇るべき健康料理の真髄である。日本料理が「生」を基本としているといった偏った理解が、一部海外で定着しつつあるが、実際は貴重な旬の食材に干したり戻したりという手間をかけて、本来の日本的料理が成り立っている。このことをこれから世界にアピールしていく必要が在りそうだ。

我が家で日常的に調理しているのは「煮物」だが、時々「酢の物」にも手を出している。大ぶりにカットして干された「割り干し大根」を使うと、大根のツーンとした野生の香りを味わえるので、ことのほかに注目してしまい、近頃は嵌まりかけている。マイブームにもなろうかという特別なメニューなり。

この他にも、味噌汁の具に用いたり、サラダに応用したりと、すでに様々なメニューが浸透しているようだ。もっともっとこの切干大根のメニューの可能性を追求していきたいなどと思案しているところなり。

マクロビオティック料理の基本【1】ひじきと大豆の煮物

「ひじきと大豆の煮物」を調理した。月に数回は調理する我が家の日常食の定番メニューの一つだ。古くからの日本の食材「ひじき」だが、実はこれこそ日本が誇る長寿食の中心に置くべき貴重な一品と云うべきなのだ。我が国では国内のほぼ全域で採取されるが、国外では中国および朝鮮半島の一部でしか棲息しない。しかも日常食として浸透しているのは、日本のみだと云ってよい。

これらの日本の伝統食の素晴らしさを世界に広めたのが、桜沢如一氏らによる「マクロビオティック」の食養生の思想である。欧州や米国の著名人たちが信仰している「マクロビオティック」という思想は、世界大戦以前に桜沢氏らによって広められた運動が基本となっているものだ。

マクロビ思想によると、毎日の献立の中で「豆類、海藻類」を5~10%摂取することとされている。「ひじきと大豆の煮物」のようなメニューを、1割は摂りなさいと云うのが基本である。

これらに関する思想や経緯の解説については、「マクロビオティック 生食の心得」(秀和システム刊)にて詳述されている。著者は福山さきさん。おいらが企画、編集を担当して出版された一冊だ。手前味噌だが、マクロビオティック思想の基本から背景、実践法が極めて判りやすく解説されている。説明図やイラスト等も豊富であり、直感的にマクロビオティックの全貌を捉えることができる書籍なのだ。多くの人に手に取っていただきたい。

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さて、改めてひじきの健康要素を見てみた。食物繊維、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB群、等々の栄養素が豊富であり、これにしか含まれないものも少なくない。栄養過多と云われる現代人の多くが、ひじきに含まれる必須栄養素の何かが不足しているのだろうという疑いは拭えないのだ。

ひじき、大豆以外のあわせものとしては、油揚げ、蓮根、人参、竹輪、等々バリエーション豊富だが、やはり基本はひじきと大豆。これを基本のベースとするべしなのだ。

「日本ひじき協議会」のホームページでは、骨粗鬆症、高脂血症、高血圧、等の予防効果もPRされている。参照されたし。

http://www.hijiki.org/

糸井重里さんもおすすめの「上州手振りうどん」

上州(群馬県)産100パーセントの地粉とオーストラリア産小麦粉とで作られたうどんなのだが、これがまたつるつるシコシコと喉越しが良く美味なのだ。上州出身の先輩、糸井重里さんも御用達にしている、いわばお墨付きの逸品である。

麺自体に食感があるので、もりうどんでもいける。茹でた麺を冷水できゅっと冷やしてもれば、つるっとして腰があるもりうどんがすぐ出来上る。朝の忙しい時間にも簡単に調理ができ、胃にももたれない。まあ早く云えば、二日酔いの朝食にはもってこいなのだ。

麺は讃岐うどんのようには太くなく、中太麺といった感じ。上州には「水沢うどん」という名物があるのだが、それをもう少し細くしていながら、つるつるしたうどんの腰は残っている。水沢うどんは半生めんとして出荷されるが、手振りうどんは完全な乾麺である。丁寧に練ったうどんの細く伸ばし、それを時間を掛けて乾かすのだという。水沢うどんは通常10分以上の時間を掛けて茹でるのだが、手振りうどんは4~5分で充分な柔らかさになる。単純に比較は出来ないが、日常食べる乾麺としては、手振りうどんに分があるのではないか。

トッピングによく用いるのは、油揚げ、なめこ茸、葱、ほうれん草、茗荷、三つ葉、…等々、日本料理の汁に合うものならばほとんどOK。時々味噌スープになめこを入れて作るのだが、これが抜群の相性である。

「八戸せんべい汁」が「アルデンテ」であるという根拠

鍋シリーズの今宵は「せんべい汁」なり。八戸名物の「せんべい汁」をつくったのです。

白菜にきのこ類、根菜類などを醤油ベースの出し汁でぐつぐつと煮込み、火が通ったところでそこに「せんべい」を加える。それだけの極めてシンプルな料理である。同じせんべい汁でも料理店やそれぞれの家庭で仕込む具財は異なっており、特性のせんべいを用いることだけが共通のレシピだと云えるくらいだ。つまりは緩いレシピで広まった郷土食だと云える。北国八戸の家庭では、寒くなればこのせんべい汁が日常的に食されていたことも納得である。

B級グルメの大会でも2度まで銀賞を受賞しており、全国的にその名前が知られることとなっている。今年も金賞候補と噂されながら取れなかった。万年銀賞グルメと囁かれてもいる。

その有力な理由としては、高級食材を使っていないためという指摘もある。「南部せんべい」は旧南部藩ならではの名物ではあるが、当地高級とまでは云えずとも甲府の「鳥もつ煮」、厚木の「シロコロ・ホルモン」等のような、ガツンとしてインパクトの強い食材とは程遠い。翻ってみれば「せんべい汁」がまさにB級食材を用いた郷土食であることを示しており、もっともっと誇って良いのだ。

ところで「八戸せんべい汁」を普及しようと活動をしている「八戸せんべい汁研究所」という団体がアピールするのは、せんべい汁がイタリアのパスタのような「アルデンテ」という食感が楽しめるということだ。八戸に旅行した時にはせんべい汁のポスター、媒体広告等にてこの「アルデンテ」のキャッチコピーを目にし、些か苦笑を禁じ得なかったのである。だがそれなりに根拠もあるのだ。

岩手や青森の南部せんべいの特徴は、粗塩と重曹、水、小麦粉が原料となっている。地元で収穫された小麦粉が主原料となる。よく練ってせんべいの生地をつくり、これを煎餅用の二枚型という型に生地を入れて、焼いていくのだ。この工程により、煮込んでも煮崩れることが無くもちもちとした食感が生まれるのだ。しかも水分をよく吸い込むので、煮込んで数分でアルデンテの完成だということになる。受け狙いだとも思われていた「アルデンテ」のPR戦略は、納得できる根拠を併せ持っていたということになる。

トマト鍋の〆は、洋風牡蠣おじやで決まりなのだ

急激に冷え行く気候に驚きつつ、またも鍋が食したくなった。今夜の鍋は「トマト鍋」なり。今年初めにアキン邸のパーティーにてこのトマト鍋をご馳走になったが、たしかそれ以来の対面である。

トマト鍋のスープを買い込んで、トマトスープをはった鍋に、豚肉、白菜、椎茸、エノキ茸、そしてこれが肝心の「生トマト」を投入する。グツグツと強火で煮込めば、トマトのトマトスープ煮といった按配となった。思えば近頃のおでんには、生トマトがおでん種として用いられており、トマトをスープで煮込む料理は珍しいものでもない。トマトをトマトスープで煮込む料理は実に理に適っているとも云えるのである。

煮込まれて真っ赤になったトマトを頬張れば、トマトのつんとした酸味はやわらぎ、トマト本来の甘味が増している。トマトだけでも大した鍋のネタとして認められるのだ。

そしてトマト鍋の〆は、洋風のおじやである。もう一品の季節食材こと「牡蠣」を投入するのがポイントだ。野菜の出汁が溶け出した特製スープにご飯を入れてそのまま中火でグツグツ。濃厚の牡蠣のもつ磯の香りが加わって、さらに奥深い味わいに。これだけ美味しいおじやはそんなにお目にかかれるものではない。大げさではなくそう思った。

寒くなった秋に相応しい「きのこのグラタン」にほっこり

急激に寒気が日本を襲っている。こんなときには温かい食べ物が求められるが、中々じっくりと味わえるメニューには出くわせないものである。家庭料理でほっこりするのがお勧めなり。シンプルなメニューながら、シチューやグラタンはこの季節にもってこい。特に季節の茸類がたっぷり用いられていたら満足である。

椎茸、しめじ茸、舞茸、等々のきのこ類をあわせて、玉葱、大蒜と一緒に軽く炒める。それにホワイトソースで煮込んで、とろけるチーズと共にオーブンで焼く。グラタンの元を使えば手っ取り早く調理できるが、今回はあえてそれを使わないで調理した。日本のグラタンにはよくあるマカロニも無しである。

旬のきのこの繊細な味わいが、クリーミーなソースによく溶けて美味である。西洋料理はごてごてとして素材の味わいを削ぐと思われたが、旬のきのことクリーミーなスープとの相性はグッドなのでありました。

今季初の家鍋料理は、「火鍋風きのこ鍋」なり

本日も肌寒き気候に驚かされたのです。こういう日なれば、鍋料理が晩餐の相棒でありたい。そんなことを考えつつ、今季初めての鍋料理にチャレンジしたのでした。ここ数年のおいらのマイブーム鍋は「火鍋」である。今回はそんな火鍋の味付けを基本にした特製のレシピ。

丁度地元のスーパーで鶏のガラが出ていたのを見て即購入。それをぐつぐつ2時間あまり煮込んで鶏ガラスープをつくる。出来立てのスープを土鍋に移して中華風スープの仕込みにかかる。唐辛子、八角、クコの実、松の実、豆板醤、甜めん醤、ラー油、等々を適量加えて特製スープの出来上がりである。

具はと云えば、白菜、白葱、椎茸、舞茸、しめじ茸、等々とそしてそして牛・豚肉。具が煮込まれた頃合にて、牛豚肉をしゃぶしゃぶの要領にて湯がいて食するのだ。スープには薬膳食材が用いられているのであり、極めて健康鍋として特出されるのだ。云わば「火鍋風健康満点特製鍋」とでも申しましょうか。

〆は中華麺を入れて、きのこ味火鍋風漬麺ラーメンの出来上がりである。

寒さを感じると食べたくなる里芋煮

美味そうな里芋がスーパーに並んでいたので、早速、里芋の煮物をつくってみたのです。使用した調味料は酒、味醂、砂糖に、今回は味噌を加えて味噌味にしてみたのでした。

泥を取って丁寧に皮を剥いた里芋を、まずは沸騰するまで強火で煮込み、調味料を加え、それから弱中火で15分ほどグツグツ。常温で冷ましてから口に運ぶと、しっとりぬるぬるとしたぬめりとホクホクの食感がなんとも云えない。土の風味が伝わってくるような、大地の香りを感じさせるような野生の味わいだ。

ときどきものの本のレシピには、ぬめりを落として調理するようなことが書かれてあるが、このぬめりこそ里芋煮にとっては必須の条件であり、気にする必要も無いのだ。ぬめりの正体は、ムチン、ガラクタンといった有用成分であり、免疫力強化にも役立つものだ。そんな素材の特徴を削ぐ調理法こそ邪道である。素材の持ち味を充分に活かすことこそ料理の基本なのである。

秋が深まり寒さを感じる時期になると食べたくなる。イカやタコ等とあわせて煮込んでも美味しく、雑煮や味噌汁の具としても欠かせない。これから里芋料理の機会が増えていくだろう。

米粉(ビーフン)を使った食材に注目なのだ

「米粉」のことを中国語で「ビーフン」と発音する。米粉を原料にした麺類を指して「ビーフン」と呼ぶのはこのためである。最近になってスーパーマーケットの棚に陳列される「ビーフン」はこの米粉が主原料となっている。「香港炒ビーフン」「ピリ辛汁ビーフン」「ベトナム風フォー」等、そのバリエーションも増えている。

そんなビーフン食材が目立つ背景のひとつには、米生産量の拡大が挙げられる。天下の愚策として名高い自民党政権下の「減反政策」はその見直しが進められ、最近になって米の生産量がやっと上昇の気配を見せている。それによって余った米の利用方法が模索されているのだが、米粉食材に関係者の注目が高まっているのだ。

これまで家での自家製ラーメンを食することの多かったおいらではあるが、このところ米粉(ビーフン)関連食材を利用していろいろ食することが増えているのだ。味もサッパリとしてグッドである。麺の食感は中華麺よりもちもちとしたところが特徴で、カロリーも低いダイエット食材である。よく使う野菜類(葱、椎茸、モヤシ、小松菜、ホウレン草、等々)を合わせるだけでもメニューの幅は広がっていく。

ちなみにインスタントラーメン、即席ラーメンの類いは、あの独特なジャンクフードの香りが気になっていてほとんど食べたことは無い。自宅で食しているラーメンは「生ラーメン」を使ったものだけである。同じインスタント麺、即席麺でありながらも、「米粉(ビーフン)」麺の方はとてもフェイバレットな味わいなのだ。

これから日本人の食生活にも「米粉(ビーフン)」が活躍する場が増えていくであろう。おいらも関心を深めつつ、新しい「米粉(ビーフン)」を活用したメニューについても関心を持って見守っていきたいと思うのである。

土鍋で炊いた「鯛めし」は絶品の味わいなり

土鍋のご飯づくりに凝っているおいらだが、本日は鯛めしづくりに挑戦。鯛のかしらを用意してまずは火で炙る。程よく焼き色がついた鯛かしらを、いつもの如くに土鍋に1時間ほどつけたお米に乗せて、準備よし。ことこと中火で炊き上げてから、鯛の骨をさばいて、ご飯に混ぜれば出来上がりだ。

1杯目は温かいままの鯛めしをそのままに味わう。鯛の淡白だが深みのある味わいが絶品である。2杯目には梅干を乗せ、緑茶をかけてお茶漬けにして味わう。葱、茗荷、等々の薬味をかければ爽やかな風味と相まって口の中に染み込んでいく。1品で2度3度と楽しめるのだから文句の付けようがないのである。

元来、鯛といえば愛媛県の県魚として知られており、鯛めしは地元の最も代表的な郷土料理である。青木愛嬢の古里の安房地方でもこの料理が名物だという。いちどそうした地方の鯛めしも味わってみたいものだ。

本年初の「松茸ご飯」「焼松茸」を堪能

先日、上野アメ横に立ち寄ったところ、期待通りの松茸を発見した。早速本年初の松茸料理にありつくこととなったのでした。

猛暑の影響で高地以外の平地中地での収穫量が少ないと聞いていたが、例年とそう違いはないらしい。形は不揃いだがしっかりした傘をつけた岩手産松茸は、その香りも良く効いており、初松茸に相応しい。秋の香りの伝道師なのである。

ここはまずシンプルに、松茸ご飯を1品。スライスした松茸に筍、鶏肉を少々。炊き込み飯専用の土鍋にて炊き込めば、台所中に松茸独特の香りが拡がったのである。

2品目もオーソドックスに焼松茸。ひね曲がって不細工だが色艶の良い松茸を縦半分にスライスして、金網に並べて遠火の中火(家では中々強火とはいかない)でじっくり火にかける。じっとり汗をかいて美味しそうな焼松茸の出来上がりだ。醤油を垂らして頬張れば、早くも秋の到来を実感したのでした。

とろん家での松茸パーティー

アーティストとろんの住んでいた、今はもう無い立川郊外の自宅へ初めて足を運んでいた日、おいらはアメ横で購入した松茸を持参していたことを想い出した。その後、トロン家には度々足を運んでいたのだが、中でも1999年秋「レインボーパレード」の前の打ち合わせパーティーでは、数十名におよぶスタッフがトロン家を占拠し、さながら決起集会の様相を呈していたものだ。とろん特製の手料理がふんだんに振る舞われていた。その中の1品が、おいらの土産松茸を使った、特性松茸ご飯だったのである。

渋谷区の代々木公園から出発して町中を練り歩いた「レインボーパレード」については、稿を改めてまとめてみたいと考えているところである。

「マーボーなめこ(麻婆滑子)」はいけるのだ

おいらの好きなメニューの一つに「麻婆豆腐」が挙げられるが、今では「麻婆茄子」「麻婆春雨」など様々なバリエーションが登場している。云わば「麻婆家族」と云っていいくらいだ。ときどきおいらが具に選択するのが「なめこ」である。水煮していない生のもので、特に大ぶりなものが好ましい。

つくり方としては麻婆豆腐と大きな違いは無い。少量のひき肉を炒め、生のなめこを少し火にかけ、醤油、甜麺醤、豆板醤、砂糖、酒、等の調味料で味付けをし、最後に片栗粉でとろみをつける。なめこ自体の天然とろみが効いていて食感が抜群なり。通常の半分程度の豆腐を合わせれば、味もまろやかで食べやすい。

このメニューはあくまでおいらのオリジナルである。他の食堂、中華屋、等では見たことが無い。お試しあれです。

牛スジ煮込みの出汁でつくった「冷やしジェルそうめん」

夏の定番素材のそうめんが残っていたので、一寸変った冷やしそうめんを作ることにした。スジ煮込みの出汁を冷凍室で冷やしてカキ氷状(ジェル)にして、それを砕いてかけるだけの簡単メニューなのだが、味は中々本格的なのだ。

トッピングはみょうがと梅干。とくにしっかりと塩と紫蘇で漬け込んだ真っ赤な(もちろん無添加物の)梅干は、口の中ですっぱく刺激し、食欲も快復させる。冷やしそうめんにとって重要な素材なのです。

酒のつまみにもよい、ネバネバ素材6種の自家製ばくだん

居酒屋に行くとよく「ばくだん」というメニューが目に付く。昔は何だろうという興味半分で注文していたが、近頃はその素材の内容を確かめてから注文するようになった。

大まかに説明すれば、納豆(これだけは必須素材)を中心にして、ネバネバしたものばかりを混ぜ合わせて食べるという簡単料理のこと。そして何故「ばくだん」と呼ぶかといえば、具が沢山混ざっていてばくだんのようだからという説が一般的だ。特に納豆が日本人好みのくせして、ある種の嫌われ者の一面があることを揶揄して、こんなネーミングが定着したのだろう。

さて、自家製「ばくだん」の素材としたのは、以下の6種なり。

・納豆(ばくだんをつくる基本の食材)
・おくら(さっと湯がいて細かく刻むとネバネバが発生。今が旬)
・山芋(すりおろして使う。ネバネバ食材の代表格)
・なめこ茸(きのこの中でもネバネバ度が抜群。おいらの好物)
・モロヘイヤ(緑黄色素材の注目株。湯がくとネバネバになる)
・根コンブ(コンブの根部分で、ミネラルも豊富)

今回は6種類でつくってみたが、語感があまり良くないような。もう1品加えて7種にしたいのだが、他に何が相応しいだろうか? まぐろ、いか、といったよくある種類のものだけは避けたいと考えているのだが、果たして如何?

圧力釜で自家製の「牛スジ煮込み」をつくる

地元のスーパーで色艶の良い「牛スジ」を見つけた。早速、圧力鍋を引っ張り出して、牛スジの煮込みをつくったのでした。

そもそも一般に牛スジとして流通しているものは、主に牛のアキレス腱を指している。ほのかに赤く、煮込むと渋い茶褐色に姿を変える。だがその姿かたちは煮込むことによってその存在感を増すのである。煮込みの一連の調理工程を経た後の牛スジはと云えば、一見地味にも映るが、その実はその姿を凛として示している。他の素材ならば煮込まれて姿を無くすものを、牛スジばかりはしつこいように姿を消したりすることが無い。しかもまたこの煮込み牛スジの栄養素というものが、コラーゲン豊富な栄養素である。若い女性を虜にする要素というものがこの食材に隠されている。

牛の正肉や牛タンのような高級素材ではない。だがある種の低級素材の牛スジもまた、愛でて丁寧にかつ特殊的調理により、逸品の料理にもなるのだ。今日は牛蒡と蓮根とを一緒に煮込んでみたが、両根菜類にはともに味がしっかりと牛スジのエキスが染み込んでいて、まさにこのシンプルな煮込み料理の奥義を見たのです。感動ものなり。

この煮込みの出汁こそ、旨みの宝庫なのだ。明日はこの出汁を使って、冷麺か素麺か、饂飩か、…とにかく美味い麺料理をつくって味わってみようと思うのである。