味噌とキムチの相性は良いのだが…。
埼玉県日高市界隈は「高麗」と呼ばれる。かつて武蔵国の高麗郡として歴史に名を連ねてきた。朝鮮半島の高句麗との関係からこの名が冠せられているようだ。おいらも群馬の故郷に帰省するときなど度々ここ「高麗川」というターミナル駅を通り、ときには1時間以上の電車待ち時間を過ごすことも珍しくない。いつだったか時間待ちの間、駅舎を出てぶらぶら歩き回ったことがあったのだが、周囲には見るもの訪ねるものなど見当たらない。今をときめく鳩山由紀夫のおじいちゃんが高麗神社を参拝したら総理大臣になったという逸話の高麗神社という立派な名所はあるのだが、目的を持たないぶらり旅にとって高麗神社を目指す気になるはずもない。想えばとても面喰っていたものである。
そんな高麗の有志たちが町興しで始めたのが「高麗鍋」。この高麗発祥の鍋をPRして売り出そうというのだ。高麗に育って数十年という知人にこの話を振ったところ、「知らない。食べたことが無い」というのだから、益々興味が沸いてくる。という訳で、地元民も食したことのない町興し鍋を求めて、高麗を訪ねたのでありました。
高麗川駅に近い某居酒屋に電話予約をして出かけた。インターネット検索して調べたところ、予約が必要とあったからである。店に着くと一人分の鍋がすでにセットされており、すぐにありつくことができた。白味噌ベースの出汁にどかんと真中にキムチが乗っている。具材は人参など地元野菜と厚揚げなど、取り立てて目を引くものはない。目に見えない特長が、高麗人参を使っていることである。固形燃料に火をつけしばし待つと、静かに沸騰してきた。丁寧に鍋に箸を入れかき混ぜてみた。高麗人参を探したが見つからなかった。多分そのエキスとやらを入れているのだろう。小鉢にとって野菜を一口。味噌とキムチの相性は悪くない。良いと云って良いくらいだ。だが高麗人参を齧りたいと願っていたおいらにとっては、ちと残念であった。昔おいらの家で火鍋パーティーをやったときは、当然のこととして火鍋のスープに高麗人参を忍ばせたものである。高麗人参スープをアピールするならそれくらい当然である。高麗人参を具として齧れるくらいにふんだんに使った高麗鍋が食べたいものである。