小金井の名店「大黒屋」の煮込み&あしたば

久しぶりに武蔵小金井駅で途中下車して、「大黒屋」に立ち寄ったのです。この店のウリNo.1と云えば「煮込み」である。モツの量はほどほど控えめに。そして、豆腐、コンニャク、ジャガイモが取り入れられている。特にジャガイモは、この煮込みに無くてはならない必須の食材と云えるくらいに存在感を示している。半分くらいは煮崩れて形をなさないジャガイモ崩れだが、そんなジャガイモ崩れの甘さが優しく舌を包み込んでくるようだ。まるで和のシチュー感覚なのである。和の居酒屋メニューとしては想定外のメニューと云わざるを得ないのかも知れない。

久々に興奮冷めやらぬレポートになってしまいそうだが、2品目のメニュー「あしたばのおしたし」についても記しておきたい。

「あしたば」とは漢字で「明日葉」と書く。今日に摘んでも明日になれば葉をつける。それくらいに生命力に溢れた植物なのだ。大島などの伊豆諸島を主な生息地としている。伊豆諸島に旅したときにはこの「明日葉」を食べないという手は無い。というより、どの旅館、民宿を訪れても明日葉料理のオンパレードだそうだと聴く。東京で居酒屋メニューとして食べているくらいが、ほどほど結構なりということの様でもある。

久しぶりに訪れた「大黒屋」は4~5年前に改装して現在の店舗となっている。そしてもう一つの異なる点は、「ホッピー」がメニューに加わっていたことでもある。店員に尋ねてみれば、1年半ほど前に新規メニューに加わったということである。やはりホッピーブームは小金井の名店にまで届いているということなのだろう。

本年は天然の「鰺」がとてもあぶらがのって美味しいのだ

今年の「鰺」は、海流の要因やらその他諸々の要因が重なって、とてもあぶらがのっているそうなのだ。そんなニュースを聞きつけて、近くの居酒屋に「鰺」の刺身を食べに行った。だがいたってフツーなのである。「こういう鰺はいつも食べている鰺だよな」。

先日は地元のスーパーで鰺の刺身のパックを見かけた。それを購入し、味わってみたところ、う~む、なかなかあぶらがのっていて美味いのである。今年の夏の鰺は、おすすめですよん!

「新ショウガとカブの浅漬け」が、なかなかいける

おしんこは常にメニューの端に置いておきたい必需品なり。夏になればまた、それなりに季節のものを求めるのである。そんな思いを抱いていた昨今、「新ショウガとカブの浅漬け」には感嘆した。いわゆる「天晴!」なのである。

この時期の新ショウガは、実が柔らかくて瑞々しい。浅漬けにしたら漬け汁を素直に染み込ませ、かつえぐみも消していく。新ショウガ自体はそのまま薄切りにしても食せるものであり、浅漬けにすることでなおのこと風味が溶け込むのである。

あわせた「カブ」がまた、新ショウガの風味を吸い込んでいくのである。まさに浅漬けとはこうあるべしの見本なり。

真夏にこそ食べたい極辛の「火鍋」なのだ

いよいよおいらにも夏バテが襲ってきたようだ。もうこれからの季節は夏バテとの闘いから逃れることが難しいのであるから、おいらはその対策をこうじているのだ。そんな夏バテ対策の一つが、辛い食物で発汗するというもの。人一倍汗っかきのおいらはかねてより、暑いときと場所では徹底的に発汗することを肝に銘じている。中途半端に冷を求めて汗をかくのを躊躇っていては、夏バテ対策にはならないのである。

それだからといった訳でもないのだが、夏には積極的に食べたいのが「火鍋」料理なり。ご存知、中国の四川省を発祥とされる、唐辛子や中国山椒、その他大量の調味料を使用してつくられる鍋である。何しろ唐辛子の辛さがのどと胃袋を刺激するために多量の発汗作用が見込まれるのだから、夏にこそ食したいメニューなのだ。中国料理のグルメが崇める満漢全席のメニューにもこの火鍋が採用されている。

上の写真に示したのは、地元の中華居酒屋店にて提供されていたものだが、よくある「火鍋」には、辛味「麻辣(マーラー)」スープと、辛くない「白湯(パイタン)」スープとの二種類のスープで味わうスタイルが一般的である。鍋も特製のものが用意されている。おいらの家にもこの特製鍋があり、ときどきは二種類の特製スープによる「火鍋」をつくったりしているのだ。

やきとりのワンダーランド、東松山に出没

久しぶりに埼玉県の東松山を訪れた。目的はご当地名物の「やきとり」を食すること。この小都市には約百軒もの「やきとり屋」が密集している。それを称して「やきとりのワンダーランド」などと呼ぶグルメ本もあるくらいだ。

ここで提供される「やきとり」の材料は鶏ではなくて豚である。本来であれば「焼きトン」と称すべきなのだが、この土地柄では古くからの慣習で「やきとり」と云えば豚の串焼きを指すことになっている。またほとんどの店では、軽く塩焼きにしたものに特性の「辛味ダレ」を付けて食べるのが慣わしとなっている。また特に指定しない限り「カシラ肉」とねぎを刺して焼いたものがやきとりの代名詞である。店に入って席に着くと何も云わずに「カシラ」の焼きトン、おっと間違いだ、やきとりが運ばれてくる老舗店まであるくらいだ。好き嫌いはあるがこの土地では土地の流儀にしたがい個性的なやきとりを愉しむのである。ちなみに「カシラ」とは豚のほほの肉を指すが、程よく引き締まって味わいも濃厚だ。吉祥寺の老舗店「いせや」で出される「カシラ」は脂身がギトギトしていてあまり好みではないのだが、東松山の「カシラ」は下処理が上手にされていて食べやすい。同じ食材でも調理法でこれだけ違いがあることを知ったのである。

一番の老舗は駅から5分程度歩いたところの「大松屋」。店構えもしっかりしていて味も中々なのだが、客が順番待ちしていたり、勝手に料理が運ばれたり、ストップしなければひっきりなしに追加されたりと、落ち着かない。今日はそこはパスして、新規開拓を敢行。

何回か歩いた「やきとりロード」とは別のコースを散策していると「串よし」という小奇麗な店を発見。ここの扉を開く。やきとりの看板を掲げているにもかかわらず、メニューは豊富だった。1本200円と、東松山の相場に比べて高い値段設定に違和感を覚えつつ、躊躇わずに「カシラ」を注文した。味は申し分なく、特製たれも見た目ほど辛くなく甘味が効いていてなかなかのものだ。トマトか何かフルーツをアレンジしているのだろうか。だが折角の東松山散策にしては物足りなく、串数本を食べ終わると早々とその店をあとにした。何か物足りない思いを抱えつつ、下沼公園近くの小さな一杯飲み屋の暖簾をくぐった。入ると地元の呑ん兵衛がくだを巻く飲み屋なのだが、そこに地元名物「やきとり」があるだけで癒される。外来者には少年の冒険心を刺激する類いの異空間なのである。出会いと発見のスリルが、この東松山にはあることを再発見したのでありました。

6色の味わいと色彩も豊かな「6色餃子盛」

近頃、いつもの行き付けの酒場がリニューアルされていた。模様替えしてリニューアルされた中華風居酒屋「ちょもらんま酒場」に行くと、いろいろ変わったメニューを味わうことができる。時々こうした酒場のリニューアルは、呑兵衛への刺激を与えてくれるので歓迎である。

特においらが特段に気に入って注文しているのが「6色餃子盛」というメニュー。大振りの、しかも6色に着飾った餃子の盛り合わせが出てくるのだ。様々な具財を活かしてしかも皮にまで6色の生地を取り入れているのだから、キワモノだと決め付けてはいけない。味もまた納得である。こればかりはブログでいくら述べたところで説得力はないだろうから、気になる方は足を運んで口にしてもらいたい。

http://www.kiwa-group.co.jp/restaurant/a100484.html

以下に6色餃子の詳細を記す。
[赤] トマトチーズ餃子
[黄] かぼちゃカレー餃子
[緑] エビ青菜餃子
[茶] 羊肉餃子
[黒] イカゲソ餃子
[白] 豚肉水餃子

なかでも最も驚きと感動だったのが、[黒]のイカゲソであった。黒々としたイカ墨の恐るべきパワーをまたまた感じ取ったのである。

多摩で一番の焼鳥屋「小太郎」の玉ねぎベーコン巻き

多摩地区にも焼鳥店は多いが、中でも一番との評判の高いのが、八王子の南口に店舗を構える「小太郎」である。鶏と豚の二本立てで、どちらかといえば豚モツの串焼き、いわゆる「焼きトン」の人気が高いようだ。

この店でおいらがほぼ必ず注文するのが、「玉ねぎベーコン巻き」である。玉ねぎというありふれた食材をベーコンで巻いて串焼きにして出されるのだが、付け合せの専用ダレが絶妙でこれにはまってしまった。ベーコンの脂が玉ねぎに染みて、ポン酢よりあまくさらりとしたタレと相まって、頬がとろけるような味わいなのだ。

初夏の風物「そら豆」を黒焼き料理にて味わう

「天豆」とも呼ばれる初夏の風物が「そら豆」である。青くて大きな豆粒を口にするにつけ、夏の入り口に立ったということを知らし召されていたものである。ある種繊細ではなく大味であり、房を破って一つ一つの豆を取り出さなくてはならなくてもあり、それほど人気の食材ではないとみられる。

だがこの「そら豆」に対する認識を一変すべきメニューに先日は遭遇したのであった。そのメニューとは「そら豆の黒焼き」というもの。黒焼きとは如何なるものかと興味津津で出されるのを待っていたのだが、出てきたものは豆の殻をそのまま火に炙って焼いたという野趣溢れるものであったのである。

手で豆の殻を破って取り出したそら豆の実は、ぴんぴんと活き活きとしていてとてもフレッシュであった。余計な調理方法を介在せずに出されたシンプルなこのメニューにはうなったのである。味もまた申し分がない。

近頃「おっ!」と唸った海鮮メニュー。「さより」と「花咲蟹」

おいらは「さより」という名前の人物を2人知っている。ともに30歳前後の、いわゆるピチピチ肌がよく似合う、今を吾が世の春とばかりに謳歌している女性たちなのである。さよりの刺身を注文して出されたその姿には目を瞠った。まさに肌艶ピチピチ。口にすれば若肌の如き弾力ある歯ごたえなり。ピチピチ弾力にはしとどに酔い痴れたのである。味は淡白であるが見た目が◎(二重丸)なり。

真っ赤な身を晒すようにして店舗入口の棚に並んでいたのが、花咲蟹である。これを竹材による蒸し器で蒸して出された。いわゆる身の部分は多くは無いが、毛蟹よりも身を食しやすい。そして緑色に光って見える「みそ」の部分が、とても食しやすいのである。おいらはこんな高級食材がテーブルに出されて、とてもあせってしまった。程よい食べ方というものを知らなかったからである。まずは緑色した「みそ」に箸を伸ばして口に運ぶ。磯の味がしてくる。これが何よりの挨拶。

酒の肴のナンバー1。イカの一夜干しに舌鼓なのだ

日本人は世界一「イカ(烏賊とも書く)」を食べる国民であると聞いて誰も驚かないが、日本の魚介類の中で「いか」が一番食べられていると云われたならば、多少意外な感じがしないであろうか? マグロやアジやカツオといった魚類は、料理店やスーパーマーケットの鮮魚棚には大量に並べられ、日本人の口から胃袋へと運ばれているのだが、イカの多くはスーパー、料理屋、魚屋で売られる以上に、コンビに等で売られている「スルメ」「サキイカ」「イカ軟骨」等の加工品、酒のつまみとなって日本人の胃袋に運ばれているものとなっている。

コンビニで目にする加工品とは少々違い、グルメに好まれる酒のつまみが「イカの一夜干し」である。八戸や房総や北海道の産地にて取れたイカを、その土地で一夜干しにされるものが大変美味なのである。生で焼いたイカの場合は少々独特なえぐみがあるのだが、それが取れてしかもしっとり柔らかなる豊穣な味わいは、まさに「イカの一夜干し」ならではのものである。タウリン、亜鉛等の必須成分を多く含み、EPA、DHAという血栓予防の栄養素を有しているから、もっと注目されて良い食材である。

高円寺のせんべろ居酒屋「四文屋」で「煮豚足」を食す

中島らも氏の「せんべろ探偵が行く」という本に接してから、安くて心地よく飲んで酔っ払える店に関心が向くようになってしまった。否、そういうより元々そういう志向性が在った上にいわゆるひとつの大義名分的命題が加わってしまったため、一層関心の炎がめらめらと燃え上がってしまったということになるだろう。

本日立ち寄った高円寺の「四文屋」は、駅を降りてガード下を阿佐ヶ谷方向に歩いていくと見つかる、小さな露店のような小店舗である。もつ焼き、焼鳥がすべて100円という手頃な値段でありながら、素材の鮮度や焼き具合共にナイスなものばかり提供するので、度々足を向けている。

殊に近頃は気に入って注文するのが「煮豚足」である。豚足を大鍋に入れてぐつぐつ煮込んで調理するというシンプルな一品なのだが、火力全開にして長時間ぐつぐつ煮込まれて出されたことを強くアピールしている。出色の出来栄えであることをシンプルに主張されて、ぷりぷりっとしたゼラチン質を口に含めば自ずと頬がゆるむのである。夕方に店が開店してから煮込まれるので、あまり早い時間には食べられない。「煮豚足はあと1時間くらい経たないと出せないんですよ」と云われて、何度悔しい思いをしたことか。

もつ焼きは常時12~13種、焼鳥も4種、その他アスパラ、ししとう、椎茸などの大振りな野菜串焼きも旨い。もつの刺身も用意されている。常連客たちは「レバーを炙りで!」などと云って、半生のもつ焼きをポン酢で食べたりなどしている。地元呑んべいに愛される人気店なのである。

ピータンが食べたくなった夜の話

ピータンという中国料理は、本来はアヒルの卵を用いてつくられるものだが、最近では鶏卵が原料となるものが少なくないのだとか。おいらが通っている店舗で出されるピータンの原料は何かということを確認したことはなく、ただ時々食べたくなるから通っているのに過ぎないのである。

そもそものピータンのレシピはといえば、1ヶ月あまり、塩、石灰、木灰、その他の混じった甕に卵を入れて密封される。白身は独特の茶色のゼリー状となり、この食感がたまらないのだ。元黄身の部分もまた、卵の成分を自らの作品に表徴とさせるがの如くに独特な味わいを提供している。このような不可思議な食材はあまり目にしたことが無い。

というわけで、ピータンが食べたくなったおいらはまたまた地元の中国料理店の扉を開けて、「ピータン豆腐」をオーダーしたのでありました。豆腐とたまねぎの刻みがピータンに合わさって、癖の強いピータンの味わいがマイルドに中和されていた。これはこれで良いのだが、ピータンの独特の鼻に突くくらいの癖が体験できなかったのが残念であった。

吉兆ならぬ喫驚のメニュー。「天然山うどの天ぷら」と「もみじ笠のおろし」

毎度流浪の食卓として赴く地元の居酒屋店にて、吉兆ならぬ喫驚のメニューを口にしたので報告します。

そのひとつが上の写真に収めた「天然山うどの天ぷら」である。よくスーパーに出回っているうどとは違っていて、味わいがある。そもそもうどという食物は、味わいが無いのが取り柄とばかりにずっと刷り込まれていたのだが、本日のうど体験にて、そんな思い込みも吹っ飛んでしまったのである。大味のうどを想定して口に運ぶが、噛み締めた途端にうどの旬の味意がぐぐっと迫るのである。聴けばマスターがとって来た野生のうどを材料にしているのだという。山梨の清流を登って行った何処かは知らぬ場所である。そこの清流にて山女を釣っていたときに取れたうどだということなり。全然大味ではない。野性味溢れるうどの味わいが、おいらの味覚を魅了したのである。

ところでそれよりもっと喫驚したメニューが、「もみじ笠のおろし」である。「もみじ笠」とは、前記と同じく山女の成育する人間が出入りしない環境にて生育している山菜である。もみじ笠という食物自体、おいらはこれまで知らなかった。もともと二人前だったところをおいらが注文したために、三人前にして出してもらったという曰く付きのメニューだったのである。こちらの食感はおいらが体験した数ある山菜の中でも最も香り初々しくて、フレッシュであった。何よりもビビットな味覚を主張している。まさにベスト1を贈呈したいくらいにブラボーな味わいであったのである。

きわものだがなかなかいける、「日本橋 紅とん」の「にんにく鍋」

豚のもつ焼き専門チェーン店「日本橋 紅とん」に久しぶりに出かけた。チェーン店舗は、あまり進んで足を運ぶことはないのだが、ここで「にんにく鍋」という珍メニューに遭遇したので紹介してみよう。きわものながら自宅でも作れる簡単メニューで、味もそう悪くはないのだ。

「にんにく鍋」の基本的なレシピは、皮をむいたにんにくを鉄製の鍋に入れ、バターを乗せて焼くというもの。直径7~8cmの鉄製の専用鍋にバターが溶けて、鍋にグツグツとにんにくが踊っていることから名付けられたネーミングなのだろうか? 酒飲みにとってにんにくとは仲良く付き合っていきたいつまみのひとつであり、焼いたり、摩り下ろしたり、揚げたりするものに、もうひとつ有力なメニューが加わったということになるだろう。今度自宅でもこのレシピにチャレンジしてみたいという気持ちを強く持ったのです。

リコピンたっぷりの「トマト麺」はホッピーによく似合う

「トマト麺」と書いたところで誰も驚かないだろうが、おいらはトマト麺が大好きである。八王子の「万力酒場」で出されるトマト麺は、卵とジャガイモが隠し味となっているがあくまで主役はトマトである。どーんと丸ごとトマトを使ったソースがナイスであり、思わず知らずに笑みがこぼれてしまう。頬も落っこちてしまうくらい美味しい麺料理である。これをきわものメニューと呼ぶなかれ。リコピンたっぷりの丸ごとトマトの酸味はそのままに、まろやかなソースに仕上がっていて絶品なのです。

おいらがここを訪れるのはだいたいが夜だから、ホッピーを飲りながらの食事となる。これがとてもいけるのである。いちどお試しあれ。

万力酒場 八王子店
東京都八王子市三崎町9-9

酒の肴にこそ似合うのが、ホヤである

上京して間もない頃のおいらは、「ほや」は食べられなかったと記憶している。原始的記憶以降のものであるので、その信憑性は大である。いつから「ほや」が食べられるようになって、しかも何時からかは「ほや」こそ酒の肴の逸品であると思うようになったのであるから人生はまた不可思議なのである。

日本における主な生息地は東北の北東部であろう。一部では「海のミルク」などと称されることもあるようだが、決してミルクのような味わいはないだろう。むしろ、磯の香りがぷんぷんと漂っていて、とてもはじめての人にとっては箸を付けたくないような、そんな香りの肴なのである。

中華風「すいとん鍋」を食する。

戦中戦後の鍋といえば「すいとん鍋」ということを、家族親戚の誰彼ともなく伝えられて育ってきたのである。だがおいらが時々食べていたすいとんは、そんな戦中戦後の世相などを感じ取ることもないように、野菜や豚肉やらがてんこ盛りに盛られた豪華仕立ての鍋なのであった。本日食した「すいとん鍋」は、中華スープが効いていた。素朴な味わいがグッドである。

春を告げる鰆(サワラ)の焼霜を食す。

春の魚と書いて「鰆(サワラ)」と読ませる。読んで字の如くに「春を告げる魚」であることから名付けられたが、春には産卵のために岸辺、沿岸に近付くことから人目に付きやすく、漁獲量も増えたというだけのことであり、鰆自体の生息量が増えたりするのではない。人間様の勝手な印象にて名付けられたものである。鰆はけっこう巨大な魚であり、全長60cm以上にもなる。ちなみに60cmに満たない子供の頃を「サゴシ(40~50cm)」「ナギ(50~60cm)」などと呼ばれる。ブリと同様の出世魚なのである。

やはり春以外の季節にその姿を見ることは稀であり、刺身などにありつけたらラッキーと思うべし。巨大魚らしく皮が厚くしっかりしていて、皮面を炙って提供されることが多いのだ。メニューには「鰆の焼霜」とあった。近頃の寿司屋でもよくみられる炙りものである。口に含めば確かに焼いた鰆の皮が香ばしい。良い舌触りがなんとも云えないのである。

春の香りはふきのとうの香りで味わうのだ。(ふき味噌、ふきのとうのかき揚げ)

本日食したのは、「ふき味噌」と「ふきのとうのかき揚げ」である。どちらも春の香りをこのおいらの味覚に届けてくれたものであり、美味なり。小泉進次郎なる馬鹿者政治家がマスコミTVを賑わしているのを見る度にうんざりなのだが、そんな馬鹿げた世相を一蹴するかの如くのインパクトを有している。この味覚こそ天晴れである。

初かつおの季節が早くも到来。

まだまだ早いかと思っていたのだが、本日はラッキーにも「初かつお」を食することができたのでした。「目に青葉、山ほととぎす、初かつお」と謳われるように、春の季節の到来を告げるもっとも顕著なる風俗こそ「初かつお」なのだからとても目出度いのです。ちなみに名乗るほどではないのだが、おいらの名前は「かつお」と云います。であるからして初かつおには大変に縁もゆかりもあっておるのです。初かつおが広まるのは東西の勝浦なのです。近々近いほうの千葉の勝浦に旅して、取りたての初かつおなどを食することなどばかり考えているところなのです。