ユーキャンが主催する2010年度の「新語・流行語大賞」の年間大賞に「ゲゲゲの~」が決定したというニュースが飛び込んできた。今年もっとも流行し印象に刻まれた言葉としての認定である。水木しげるさんの妻、武良布枝さんが著わした「ゲゲゲの女房」を基にしたドラマが大ヒットしたという背景を受けての受賞である。水木しげるブームは想像以上に広く浸透していたということが証明された格好となった。授賞式には水木さんの妻で「ゲゲゲの女房」の作者でもある武良布枝さんが出席し、受賞のトロフィーを受け取った。水木しげるファンの一人としてこの決定を喜びたい。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101201-00000519-sanspo-ent
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武良布枝さんが2008年に発表してヒットした「ゲゲゲの女房」は、今年になって、NHKのTVドラマ化されて国民的な関心を集めた。さらに映画化もされており(12/より全国公開予定)、今やブームの頂点を極めているといった感もある。
著書には、水木さんとのお見合いの馴れ初めからはじまり、赤貧の時代を生き抜きそして作品がヒットして一躍時代のスポットを浴び、家庭では二女の母として苦労しながら逞しく生き抜いている、そんな一人の女性としての、飾ることの無い言葉が綴られている。極めて感動的なエッセイとなっている。
受賞語として「ゲゲゲの女房」ではなく「ゲゲゲの~」とされたのは、このブームには、夫である水木しげるさんの存在の大きさを認めてのことであろう。偉大な夫あってこその妻の栄光か?
先日のエントリー記事でも記したが、水木さんの出世作「ゲゲゲの鬼太郎」は、元は「墓場の鬼太郎」という題名で発表されていた。講談社の漫画賞を受賞してTVドラマ化が検討されていたときにネックとなっていたのが、著作権の問題だったとされている。「墓場の鬼太郎」でのドラマ化が困難であったことをうかがわせる。
「ゲゲゲの~」というネーミングは様々な意味が含まれているが、水木しげるさんが語ったという説明がもっとも分かりやすい。水木さんは自分の「しげる」という名前をうまく発音できずに「げげる」となってしまう。だから「ゲゲゲ」で良いんだと語った逸話を、「ゲゲゲの女房」の本の中で披露している。ゲゲゲのプロデューサーとしての肩書きを持つ夫人ならではの、重い告白であると云えるかも知れない。
エッセイ本の中では、二人が見合いをした後4日で結婚したという、超スピード婚となった舞台裏を公開している。そんなエピソードの数々は、我々の世代とのギャップを浮かび上がらせもする。当時は自由恋愛の結婚などは珍しく、見合い結婚以外の道は無かった、お見合いで結婚相手を決めるのが運命だった、等々の心情を淡々と綴っているくだりはとても印象的だ。