春爛漫「春キャベツと桜の花スパゲティー」

春の食材の中でも、春キャベツが一押しお勧めのおいらである。

先日は家で春キャベツのお好み焼きを作って味わい、その味覚を満喫したばかりである。それでは春キャベツのメニューには如何なるものがあるのか? と、このところずっと興味津々の的であった。

そんなところで今日遭遇したメニューは、「春キャベツと桜の花スパゲティー」であった。春キャベツは予想通りに瑞々しくて柔らかであった。そしてもう一つの主役の「桜の花」は、少しばかり塩辛くて春らしくはなかったというべきだろう。
味覚だけではなく視覚においても春を味わえる食材として「桜の花」が採用されたということが推察可能であるが、視覚と味覚とのギャップをどう認識しているのかと訝しく思うのである。

食用にされる桜の花は、ほぼ全てが塩漬けにされて供されている。この塩漬けされた桜の花というものが、近頃では静かにグルメ界に浸透しているようなのだ。グルメ界だけではなく、風流を求める関係者たちにとってはこの「桜の花」がとても重要なアイテムのようだ。

寒い季節からの開放を象徴するかのように咲いてはパッと散っていく、そんな春の桜の花弁を塩漬けにしようとした人たちのことを考えるに、様々なかつ複雑な想いを抱かざるを得ないのである。

神田ガード下の二毛作的大衆割烹「大越」で乾いた喉を潤したのだ

神田という街の風情は一見してサラリーマンが集っているのだが、その人々の生態はといえばサラリーマン風情にとらわれない姿の営みなどが見え隠れしていて面白いのだ。

中でも注目されたいのが神田駅ガード下の飲屋街の風情である。神田駅西口の大衆割烹店「大越」では、昼間はエネルギーの元としての定食メニューを提供しており、その多彩さで一目置かれる存在となっている。例えば「アジのたたき」などというメニューが昼定食にて提供されるのだから有り難いのだ。

そして日が落ちた夜ともなれば、その店は地元のサラリーマンを始めとする人間のるつぼとして異様な活況を呈していく。昼にも味わっていた「アジのたたき」などといった定番メニューはそのまま夜の部へと引き継がれ、なおかつ、様々な居酒屋メニューで賑わうという光景が、そこかしことなく垣間みられていて興趣をそそるのである。

この店の利用者はあまり神田的ではないともみえる。例えば「カツ」「フライ」といったメニュー料理に醤油をどぼどぼとかけている様が見られたときにはぞっとしたのだ。こんなことは一例に過ぎず、好き勝手に醤油やソースやその他の調味料をかけまくっている姿などでは困惑のていではあったのだ。

今日の一押しは「ホタルイカ」であったようで、客の大半はまずはホタルイカを注文していたようである。流石に旬の食材だけのことはあり、ピチピチとした食感やら春らしい香りなどにて満喫したのだ。店員は「大盛りですよ」と一声かけてテーブルに置いたのだが、あながち嘘でもあるまいと感じた次第なのである。

隣の客に目を向ければ、「イカの丸焼き」「マグロの中トロ」「枝豆」「秋刀魚焼き」などを注文していた。どれも居酒屋メニューになくてはならないオーソドックスなものばかりである。オーソドックスなメニューが支持されてお店が賑わっている。これぞ大衆割烹店の基本なのかもしれないな。

今季初の絶品「シラス丼」を味わう

イワシの稚魚を「シラス」と呼び、湘南地方ではとても珍重されている。否、湘南地方のみならずの全国的な旬の食材として、とても貴重であり、味わい深いものとなっている。本日は四谷方面に赴いた折に、このシラスが満載の「シラス丼」を味わったのでした。

稚魚の中でもさらに小さな稚魚がいっぱいに乗った丼を見たとき、流石に旬の丼であるとの感激を抱きつつ、箸で突付いては口に運んだ。う~む、感激の食感である。潮の香りも漂ってくる。四谷という都心に居てこのような旬の味覚を味わうことが出来たことに感激の思いだったのである。

さてこの「シラス」という稚魚をよく眺めてみれば、白い半透明の身の中にまさしく芯のような骨格を見て取ることができる。背骨であろう。カルシウムの宝庫だとして珍重されるものでもあり、ことに骨粗鬆症予防にはとっておきの食材である。おいらの母は骨粗鬆症をきたして骨等が弱くなっているので、この「シラス」を食べることを勧めている次第なり候。

シラス丼に添えて出されたのが「お茶」であった。

「よろしければ、お茶漬けで…」

という店員の案内もあり、途中の丼にお茶をかけて「お茶漬け」にして食してみたのだ。これが予想以上にGoodだったので、また新たな発見に出食わした。とてもお勧めである。

ちなみに「出汁」ではなく「お茶」がGoodである。近頃は「出汁」をかけて「お茶漬け」というものを出す飲食店があるが、そんな邪道な代物ではないのだ。家でもこれから「シラス丼茶漬け」をやってみよう。

サラリーマンの街、神田で「ひつまぶし茶漬け」を食す

神田を歩けばうなぎの店にぶつかる、というのは些か大袈裟ではあるが、サラリーマンの街こと神田界隈には、うなぎ専門店が多数存在している。例えば「西口商店街」の1本道を歩いただけでも3軒のうなぎ専門店に遭遇したのだ。

仕事の打ち合わせで神田に赴いたとき、そんなうなぎ専門店のうなぎ料理の「ひつまぶし」を食したのです。

ひつまぶしというのはご存知のように、うなぎの蒲焼を細かくして、重箱にまぶしたもののメニューである。まずはそのままにひつまぶしの美味しさを味わい、途中からはお茶をかけて「お茶漬け」にして食べるというのが一般的な食し方なり。

一つのお重箱メニューで2度楽しめるということから、このような食べ方が広がっていったのだ。

お茶漬けにしたひつまぶしは、香ばしいうなぎの身とお茶の爽やかさが相俟って、とても美味なる味わいのハーモニーというべき味覚を愉しませてくれたのでした。

和風カレーの一つの方向性を示すのが「スープカレー」なのだ

北海道の札幌で誕生したという「スープカレー」。口コミなどからブームを発生したとみえ、近頃では東京でも頻繁にお目見えすることになった。さらっとした(つまりドロドロとしていない)カレースープが特徴なのだが、何度か口にするたびに思うことがある。このスープカレーこそは和風カレーの一つの方向性を示す料理ではないかということだ。

先ずはこのスープの和風な風味。このスープの出汁はといえば、鶏ガラ、豚骨、そして鰹節等がミックスされて大切に仕込まれている。店によっての違いはあるが、まるでラーメン店のスープのように、時間をかけてじっくりと仕込まれている。

そもそも印度や英吉利におけるカレー料理というのは、スパイスが効き過ぎているほどにきつく喉を突く。辛味だけではなく、各種のスパイスが主役となっているような料理である。それに比べて和風カレーというものは、何とマイルドなことであろう。小・中学校の給食で出されたカレーこそは、和風カレーのある種の典型を示している。だがそれ以上に日本人の味覚に合わせるようにして、スープカレーは誕生したのではないのかと、密かに感じ入っていたところなのである。

和食の良さの一つとして強調したいのは、そのスローフーズ的な調理法によるまろやかさである。和食とは一面で「刺身」に象徴されるような、素材の生の味を活かした調理法によるのではあるが、それだけではなく、じっくりと仕込まれたスープの出汁を活かした調理法が定着している。これはもう、印度や英吉利の料理には存在し得ない、日本独特の食文化であると云えるだろう。

おいらの好みは野菜をトッピングしたスープカレーである。地元のスープカレー店にて味わったそのメニューには、素揚げした人参、南瓜、じゃが芋、ピーマン、ナス、舞茸、蓮根、小玉蜀黍、ブロッコリー、等々の豊富な野菜が踊っていて、和風のカレースープの香りに包まれていた。カレースープの味も確かな出汁に包まれていて、至極満足したのでありました。

デミグラスソースで味わう洋風オムライス

オムライスとは元々洋風料理ではあるが、かつて食べてきたオムライスといえば、チキンライスにケチャップ味という、和風洋食の味わいが濃厚に漂っていたものだ。卵料理の中でももっともその恵みをストレートに味わえる大衆料理として、長らく日本人の舌と胃袋を満足させてきていたのである。そんな料理を総称して「洋食」と呼ぶ慣わしが定着している。

ところで先日食した「オムライス」は、宵の後には仏蘭西酒場としてワインバーとなる、今時流行の店舗である。昼間からワインを注文することも出来る訳も無く、ランチメニューで「オムライス」を食したのだ。

卵はホクホクとして活きが良く、半熟卵の香りが鼻を突くくらいに濃厚である。バターの香りも漂っていたのでカロリーも相当なものであったと推察するのだ。

ワインを好む仏蘭西人は、例えば麦酒大好きの独逸人に比べてメタボ度が低いと見ていたのだが、こんな高カロリー食を摂取していてはメタボ度も高いに相違ないと感じさせる。つまりはそれくらいにガツンとして、胃袋を刺激する濃厚な味わいなのでありました。

ラーメン「ホープ軒」の本当の味わいは如何に?

久しぶりに、「ホープ軒」ラーメンを食したのです。

昔はよく食べていた懐かしい味でした。1回目にスープを嗅いで懐かしいと感じた後、そして2回目に箸をつけると、ほどよくアレンジされた独特のスープの味わいが漂ってくるのです。

このスープはかなり曖昧である。豚骨スープかと思えばそれなりにそれなのだが、中途半端なのである。べつに悪口を述べているのではない。中途半端なのが気に入って注文する客も少なくないだろう。それでよしとするべきなのかもしれないとふと思う。

いわば人間の欲望などというものにうつつを抜かしていては正しい市民生活などは送れなくなる事は必至であり、ある程度の処で妥協すべきであると最近考えているのだ。

という訳で、ホープ軒のラーメンは、それなりに良いものだったということに纏めておきたいのです。

ファンキーモンキーベイビーズも御用達の「宮城ラーメン」

今年から八王子の観光大使を任じている「ファンキーモンキーベイビーズ(略してファンモン)」のメンバーたちが、ずっと昔から通っているラーメン店。八王子駅南口から徒歩2~3分のところにある。看板には「ラーメンのデパート宮城」などとあり、少々物々しいのだが、扉を開けばふつうの町なかにあるラーメン屋といった佇まいだ。

醤油味、味噌味、塩味…等々、種類も具のトッピングも豊富なのだが、やはり店名を冠した「宮城ラーメン」が基本味。それに煮卵(味玉と呼ぶらしい)をトッピングするのがおすすめだ。この煮卵というのが只者ではなく、醤油ベースのスープ味がじっくり煮込まれているから、それだけでも一品のおかずになる。

醤油ベースの「宮城ラーメン」は、いわゆる「八王子ラーメン」の基本を踏襲している。すなわち、濃厚な醤油味のスープに、刻み玉葱がトッピングされている。その他に、ナルト、叉焼、メンマ、ワカメがふつうに乗っているので見た目にはよくあるラーメンという感じだ。麺は中太のちぢれ麺。そしてスープの表面には、またひとつの「八王子ラーメン」系の特徴でもある薄い油状のまくに覆われている。

ファンモンがブレイクして「ファンモンラーメン」というメニューも誕生した。「宮城ラーメン」とそれほどの違いは無いが、「あおさ海苔」がトッピングさているのが特徴だ。全国各地からファンモンのファンたちが同店を訪れてはこのメニューを喰らっていくらしい。とり立てて騒ぐ味ではないが、寒い季節にはほっこりとして温まれる。店の外観には少々戸惑うが、中に入れば家庭的な中華料理店なのだ。

■ラーメンのデパート宮城
八王子市子安町 4-26-6

秋の味覚のニューウェイブ「松茸のリゾット」を食す

久しぶりに入ったイタリアン・レストランで「松茸のリゾット」なるメニューに遭遇した。通常は「きのこのリゾット」なのだが、秋季だけの季節限定メニューということだ。迷わず注文してみた。

いわゆるリゾットとは和風のおじやか雑炊のようなものだ。松茸の他に、鶏肉、人参、ブロッコリーや、上には粉チーズが降りかけられている。松茸以外に椎茸のような茸も含まれているようだ。

スープはコンソメ風味が基本だが、スープ中にトマトの細切れがまぶされているためトマトの風味も生きている。松茸とトマトの香りが風味の決め手となっている。どちらもおいらのフェイバレットの食材でありグッドなるマッチングだ。

本年は例年にない松茸が豊作の年である。今年はこれからも松茸料理にチャレンジしていきたいと思っている。その貴重な一つのレシピとして「松茸のリゾット」が挙げられる。いつかこのブログでもレポートするつもりなのでご期待ください。

酸味と辛味が際立つ「揚州商人」の「スーラータンメン(酸辣湯麺)」

伝統的な中華料理の味というものは、「酸(酸っぱさ)」、「辣(唐辛子系の辛さ)」の2種の味に「麻(痺れる辛さ)」、「香(香ばしさ)」、「苦(苦味)」、「鹹(塩辛さ)」、「甜(甘さ)」を加えた7種類の味によって調理される。その中で「スーラータンメン(酸辣湯麺)」とは前者2種類の味のハーモニー、「酸」と「辣」すなわち「辛味」と「酸味」が共に際立っているのが特徴だ。

スープの具は玉子、豚肉、椎茸、竹の子、白髪ネギといった、よくあるものだが、その味付けが特別。中華麺の中でもっとも本場の味を感じさせるメニューだ。辛さでまとまった坦々麺よりこちらの方が好みである。

なかなか中華料理店へ行っても本場の「スーラータンメン(酸辣湯麺)」は味わえないものだ。その点「揚州商人」のスーラータンメン(酸辣湯麺)は本場仕込みでコクがあって美味なのだ。

熊本風豚骨の「桂花ラーメン」は時々食べたくなる味なのだ

新宿へ立ち寄るとついつい食べたくなるのが「桂花ラーメン」。元々は熊本の地域ラーメンだったが、古くから新宿へと進出しており、もはや東京人にもなついている味である。おいらも学生の頃から親しんだなじみの味なのだ。

博多の豚骨ラーメンに近いが、豚骨に鶏ガラを加えて煮込んだスープが特徴的だ。豚骨のみのスープに比べればより複雑で、個性的な味わいなのだ。そして麺も太目であり、博多麺との違いも際立っている。もちもちと歯ごたえがあり、これが濃い目のスープに良くなじむのである。

トッピングには叉焼、煮卵、メンマ、ネギといった一般的なものの他に、キャベツ、高菜漬けなどが用意されているので、度々来ても飽きることが無い。

■桂花ラーメン 新宿東口駅前店
東京都新宿区新宿3-25-6

下北沢「珉亭」の江戸っ子ラーメンに舌鼓なのだ

久しぶりに下北沢に赴き、「珉亭」の江戸っ子ラーメンを味わったのでした。このラーメンは、大振りの容器に盛って出される。たっぷりの澄んだ魚介系スープに細めのちぢれた麺に、自家製シャーチュー、ピリ辛の白菜漬けがトッピングされているのが特徴だ。キムチと呼ばずに白菜漬けと呼ぶのがこの店らしいところだ。

何よりも澄んだスープの味わいは何とも云えない気品さえ漂っている。がむしゃらに麺とトッピング類とスープを食べ尽くしても尚、お代わりがしたくなるラーメンは、この「江戸っ子ラーメン」以外に感じたことは無い。それくらいの逸品なのである。

おいらはこの店には学生の頃から通っているが、常に地元下北沢住民の胃袋を満たしてきているのを目のあたりにしてきた。下北沢には数多くの劇団や音楽事務所が軒を並べている。売れないミュージシャン、劇団員、アーティストたちの支持を集める御贔屓御用達の名店であるとともに、若いミュージシャンたちが同店でアルバイト勤務をするなどと、密接に地元に溶け込んでいる。2階の座敷席に着けば、この店を愛するタレント、アーティストたちの色紙が壁面を飾っていることに気付く。味に惹かれて、しかも下北沢という土地に根付いた独特の雰囲気に惹かれて、大勢のファンが集っているのだ。

珉亭
東京都世田谷区北沢2-8-8

埼玉にもあったB級グルメの「飯能すいとん」

先日埼玉県の高麗界隈に散策した帰り、飯能市に立ち寄って食したのが「飯能すいとん(すいーとん)」だった。地元蕎麦屋の「せいたろう」では、蕎麦とのセットで1,000円なり。

すいとんはすいとんでも埼玉飯能の地元産だけあり、埼玉県産の小麦粉を使ったすいとんのつくりが違う。一ひねりも二ひねりも加えられた特産的なメニューである。

直径10センチ近くはあろう巨大なすいとんの中には、特製叉焼や様々な埼玉野菜が隠されていて、箸で突付いて中身を開けば、飯能食材の玉手箱といった風情であり一興をそそる。これをとろみがかったスープに包まれて出されるのだ。

地元グルメの愉しみを堪能させられた一品なのでした。

点心のニューウェイブ焼小龍包は、つい箸が伸びてしまうのです

数ある中華の点心料理の中で、もっとも熱い関心を集めているニューウエィブが「焼小龍包」である。今ではポピュラーとなった小龍包を焼いたものだが、おいらも大好きなメニューなのです。

そもそも小龍包という点心は、豚挽き肉のあんを薄い小麦粉の皮で包んで蒸したもの。皮の中にはあんから滲み出たスープが豊富に含まれており、箸で(あるいはスプーンで)突付いてそのスープ(肉汁)を味わうのが愉しみの最たるものだ。スープの成分中にはゼラチン質が多く含まれていることから、女性にも人気だという。餃子より大ぶりで丸く、肉まんよりは小ぶりである。

熱々の蒸した点心としての小龍包だが、それを焼いて焦げ目をつくることで、より熱々の点心となる。しかも中に閉じ込められたスープの味わいは、閉じ込められて熱々にされたことによりひとしお満足感を高めているようなのだ。

こんなに旨い点心こと焼小龍包の脂が身体に良くないことはわかっていても、ついつい食べに行きたくなる。たまには良いだろうと、月に数回には抑えているのだが、ついつい行くと点心を食べすぎになるので注意を喚起しているところなり。

甲斐の国にて、夏向けの「ほうとう」こと「おざら」を食す

青春18切符が1回分残っていたので、それを消化すべく甲斐の国こと山梨県方面に向かったのです。相変わらずの猛暑酷暑で、気分爽快とは云えずにいたのだが、甲府地元食堂で食べた「おざら」というメニューは、中々面白い出会いであった。

「おざら」というのは簡単に説明すると「ほうとうのつけ麺」あるいは「冷たいほうとう」といったところ。夏場では流石に熱々のほうとうは食べる気にもならず、かと云ってせっかくの甲州に来て名物を食べずには帰れない。そうした観光客をターゲットにして、注目を集めているようだ。元来は甲州の田舎では夏場のメニューとしてポピュラーだったという話もあり、一概に観光客相手だとばかりは断定できない。

さて、そんな「おざら」を食した第一印象はと問うならば、それほどの感激もなかったと云うべきか。ほうとうに使用される極太の麺は、冷やし麺として食べてみればきしめんをもう少し太くしたような、いかにもフツーのものである。決して上州の「水沢うどん」のようなもちもちっとして雅なる、独特の味わいがある訳ではない。

冷やした麺とともに出される漬け汁は、椎茸や人参、油揚げがトッピングされていてとても濃厚でくどい位に甘味が強いが、所詮それ以上のものではない。そもそもほうとう麺が冷やしになって、味噌味で無くなる理由というのがわからない。味噌味とほうとうめんは表裏一体と考えていたのだが、何か裏切られたという思いさえもが生じてしまうのだ。

あまり他県の批判はしたくはないが、甲州の「おざら」は上州の「水沢うどん」の足元にもおよばない代物であったということか。

八王子ラーメンの名店「弘富」のネギラーメン

一般的に八王子ラーメンの特徴というものは、醤油ベースのスープ、刻み玉ねぎのトッピング、そしてスープ表面の脂の存在、の3点である。「弘富」のラーメンは、人気の八王子ラーメンでありながら、とても個性的な創作ラーメンとしての様々な工夫が活きている珠玉の逸品なのである。

当店の「ネギラーメン」は、八王子ラーメンの基本の刻み玉ねぎに加えて白ネギがトッピングされていること。やはりラーメンには白ネギが不可欠として考えるおいらのいつものチョイスである。

スープの基本は魚介類の出汁によるものとなっている。煮干、アジ、さんま、うるめ、かつお、さばをバランスよく配合して調合されているということだ。一般的な魚介出汁に比べるととても深いコクがある。

■東京都八王子市明神町 3-11

うなぎの名産地、三島の不二美の「うな重」で夏バテ予防

本日は丑の日ということもあり、尚且つ伊豆に旅行中だということもあったので、首尾良く絶品の、三島のうな重にありつくことができたのでした。

静岡県の三島といえば、富士の雪解け水が流れ込む名水の地として有名だが、絶品のうなぎを置いて語ることなどできないのである。良き水のあるところに良きうなぎが育つという。すなわち美味しいうなぎを育てるには、そんじょそこらには無いくらいに良き水が必要であるということ。三島には、そんな良き美味しいうなぎが育つ条件が揃っている。全国的に有名な浜松と比べても決して引けをとることのない絶品のうなぎを味わうことが出来るのである。

開店間際の暖簾をくぐったのは「うなぎの不二美」。三島には「うなぎ横町」という専門街もあるくらいであり、その街中の名店である。いくつかあるメニューのうち迷わず「うな重」を注文した。

重箱の蓋を開けると、いつもの整ったうな重の姿が目に飛び込んできた。東京で食べている「うな重」との、とりたてて違いは無いようにみえる。だが箸でうなぎを刻んでご飯とともに口に頬張れば、その違いは歴然としていたのである。箸で刻んだうなぎの蒲焼は柔らかで、ふっくらと蒸しあげたということを示している。蒸して焼くのが関東風の基本であるからとても基本に忠実なことが判る。かつうなぎの味が苦味を含んで濃い味である。たれの味ではなくてうなぎの味がこれ程に染み渡る「うな重」は、滅多に有るものではないのだ。

沼津で途中下車してかもめ丸の「ぬまづ丼」を食したのです

伊豆の修善寺に旅しているのだが、ここに来る前の旅の途中で沼津港に立ち寄ったのです。そこには駿河湾で収穫された魚介類が豊富に陸上げされ、港周囲に立ち並ぶ市場には朝どれされた食材をふんだんに使ったメニューが提供されている。十数年ぶりの訪問の、今回の最大の目当ては駿河湾の名物「桜エビ」であった。過去に由比ガ浜で食べた「桜エビのかき揚げ」の味が忘れられないのである。

十数年前に来たときにはこんな賑わいは無かった。港周辺の風景は一変していたのだ。港町にも色々あり、例えば千葉の勝浦がいつでも長閑な港町風情を示してくれているのとは対照的に、常に前のめりに変化し続けているさまを呈示するかのようだ。

わざとお腹を空にして市場の食堂「かもめ丸」に到着した。メニューを眺めてみると「ぬまづ丼」が視界に飛び込んできた。桜エビに加えて生シラス、鯵が載っている。一目見てそれに決めた。10分くらい待たされただろうか、目の前のテーブルに出された「ぬまづ丼」は、桜エビ、、生シラス、鯵刺し、がキラキラと宝石のように光って視界に飛び込んできた。口に頬張ればますますその感動は高まっていた。一つひとつの食材がキラキラと舌と目を愉しませてくれる。どんぶりのご飯にもまた一味が加わっていることに気付いた。炊き込みご飯を使っているようなのだ。酢飯ではこうはいかない。旅の天晴れがここにあった。

まぐろのほほ肉がどっさり盛られた「ビンタ丼」は美味なり。

銀座界隈と云えば築地市場を近くに控えていることからも、新鮮な魚介類を使ったメニューが豊富である。本日食したのは、まぐろのほほ肉(ビンタともいう)を特性のたれで甘辛く焼いた切り身がどっさりのった「ビンタ丼」である。

まぐろのほほ肉といえば、通常は、魚市場関係者しかありつくことが出来ないという希少な部位である。引き締まって弾力があり、噛み心地もひとしおである。例えばよくあるまぐろの煮付けはパサパサとして味気なく、あまり食べられたものではない。おいらもちと苦手である。まぐろを使った「ツナ缶」は、あっさりと塩味で、サラダオイルなどを加えているが、まぐろが甘辛の味付けとの相性が優れないというゆえあることでもある。

しかしながらまぐろの「ほほ肉」に限っては煮ても焼いても崩れることがない。牛肉、豚肉以上に甘辛たれとの相性良し。一度食べたら忘れ能わざるべき逸品なのである。

こんな希少で美味なるほほ肉の「ビンタ丼」は、昼ランチで780円の安さなり。おすすめです。

「豊年満作」東京都中央区銀座3-8-4  新聞会館 B1F

激戦区銀座の「博多天神」とんこつラーメン

久々に、銀座のランチにまつわる話題をエントリー。

意外に思われるかも知れないが、銀座は博多ラーメンの激戦区である。おいらも1週間に1回程度はトンコツこってりの博多ラーメン店へと足を運んでいる。そんな店舗が5軒くらいはあるだろうか。中でも定番的に足を向けるのが、「博多天神」である。これでもかと云うくらいに煮込んで白濁したスープは、余計な味付けがほとんどされていなくて、そこにお好みで辛子の素的なオリジナル調味料を足して食するのが流儀である。紅ショウガやゴマもお好みで。

シンプルな「ラーメン」のほかに、トッピングされた幾つかのメニューが並ぶが、中でもお勧めなのが「きくらげラーメン」である。コリコリとした独特の食感が心地よく、不老長寿の素とも云われるきくらげがどっさりと盛られて出されるさまは、ことのほか食欲をそそる瞬間である。

余談になるが、おいらはダイエット中の為、「替え玉」は注文しない。その代わりにスープはそっくりと飲み干すのだ。コラーゲンたっぷりのスープこそ美味なり。