上原善広さんの「日本の路地を旅する」を読んだ

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日本全国にある路地には夫々に特別な地場ともいえる特別な趣が存在している。おいらは全国各地を旅するたびに、そんな路地に接してきたが、此の一冊はそんな個人の思い入れを遮断するほどの重みを有している。おいらがスローな旅で味わっている趣とは異次元の現実である。

全国の中にて「路地」と呼ばれる場所の一部には、被差別部落が在るのだということを、同書は示している。其の呼称の元の一つは、亡き小説家、中上健次さんの記述に依るものであるということなのである。被差別部落出身の中上健次さんが「路地」と呼んだ場所を、同じく被差別部落出身の上原善広さんが旅をしながら、ノンフィクションのルポルタージュとして纏めたものが本書の成り立ちである。

ただし、同書の中にては具体的な被差別部落の名称や場所を特定することは無い。おいらの出身地である群馬県内の路地を扱っている章を読んでみても、具体的な地名は確認出来ないし思い浮かべることも無かった。暗く重たく負のエピソードを抱えているとされる全国の路地を、作者はまるで巡礼の旅を行なうようにして歩きながら、レポートしている。